信用情報機関が作成する報告書の正確性に、依然として残る懸念
消費者保護団体の全米消費者法センター(NCLC)の信用情報部門ディレクターのチチ・ウーは、自動車ローン以外でも、大手の3つの信用情報機関が作成する報告書の質に懸念を示している。これら報告書は、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードの取得可否や金利を左右する、米国人にとって極めて重要な信用スコアの基礎データとなる。
訴訟追跡サービスのWebReconによれば、過去には信用報告書の誤りをめぐり、消費者が信用情報機関を相手取って数万件規模の訴訟を起こしてきたという。
2025年1月、CFPBは信用情報機関のエクイファックスに対し、信用報告書の誤りについて十分な調査や是正を行わなかったとして1500万ドル(約23億円)の罰金を科した。同社の広報担当者はフォーブスに対し、「当局の懸念に対応するため、技術や業務プロセスを全体的に見直すなど、CFPBと協力的に取り組んできた」と述べている。
もっとも、信用報告書の正確性については依然として明確な評価が難しく、一部の調査では高い誤記率が指摘されている一方で、信用情報機関側はそうした主張を強く否定している。
今年、連邦裁判所が「医療債務を信用報告書に記載することを禁止する」というCFPBの規則を無効としたことを受け、医療債務が再び信用履歴に反映されるのではないかとの懸念も広がっている。しかし、信用情報機関の業界団体であるコンシューマー・データ・インダストリー・アソシエーション(CDIA)の広報担当者は、「現時点でそうした計画はない」と述べている。
学生ローン延滞が急増、支払い記録の誤処理リスク
全米消費者法センター(NCLC)副ディレクターのダイアン・トンプソンは、学生ローンの借り手が支払い記録を誤って処理されるリスクに直面していると指摘する。特に、融資管理会社の入れ替えや、パンデミック期に実施された政府の救済措置の終了が影響しているという。
ムーディーズとエクイファックスのデータによれば、今年初め以降、学生ローンの延滞率は急上昇し、過去20年以上で最も高い水準を大きく上回った状態が続いている。
連邦学生ローンを管理する非営利団体Mohelaには、過去6カ月で4700件のCFPBを通じた苦情が寄せられたが、そのうち迅速に回答できたのは40%にとどまった。Mohelaの広報担当者は声明で「当団体はすべての借り手の懸念を真摯に受け止め、CFPBへの苦情にも対応している」と述べたうえで、「今後、教育省の連邦学生支援局と協力し、対応体制の強化に取り組む」と付け加えた。
高額手数料のリスク、ホームエクイティ契約という手法
トンプソンは、住宅資産の持ち分を現金化する「ホームエクイティ契約」を手がける企業にも強い懸念を示している。たとえばボストンを拠点とするHometap(ホームタップ)は、住宅資産の最大20%に相当する手数料を請求している。同社の仕組みを利用すると、持ち家の評価額の一部を現金化できるが、2025年1月中旬、トランプ大統領が就任する直前にCFPBが公表した報告書では、こうしたサービスは仕組みがわかりにくく、住宅担保ローンよりも高額になりがちで、場合によっては数十万ドル(数千万円)規模の手数料が発生する恐れがあると指摘されていた。
Hometapの広報担当者は、「住宅所有者への教育は最優先事項であり、すべての取引プロセスに組み込んでいる」と述べ、「当社の商品のコストは、従来型の融資商品と同程度だ」と主張した。
トンプソンはまた、無利息の期間後に一括返済しなければ、過去にさかのぼって高額な利息が課される仕組みの、医療費向けや小売店向けのクレジットカードが増えていると指摘する。こうした「据え置き利息型」カードは、Synchrony(シンクロニー)やBread Financial(ブレッド・ファイナンシャル)などの企業が提供している。
大手テック企業のデジタル決済サービス、議会が監督強化を撤回
彼女はまた、米国の大手テック企業が提供するデジタル決済サービスにも潜在的なリスクがあると警鐘を鳴らしている。「これら企業はすべて、監督当局の管轄外にある」とトンプソンは指摘し、消費者データのセキュリティや販売手法、手数料が合法的で理にかなったものであるかどうかや、資金が正しい受取人に正しく届いているかどうかといった問題を挙げた。
CFPBは2024年11月、アップルやグーグル、ペイパルなどのデジタル決済を提供する大手テック企業を監督対象に加える規則を制定したが、議会は今年に入ってこれを撤回した。
ペイパルの苦情が急増、不正取引やアクセス障害
過去6カ月間のペイパルに関するCFPBへの苦情件数はここ数年で最多となり、9月には単月で711件に達した。苦情の多くは、不正取引や口座へのアクセス障害、詐欺の疑いなどに関するものだった。
ペイパルの広報担当者はコメントを控えたが、CFPBのデータによると、同社は苦情のうち2件を除きすべてに迅速に回答し、87件の消費者に金銭的救済を行ったという。
イノベーションの停滞、CFPB機能停止の長期的影響
こうした多くの消費者リスクに加え、CFPBの機能がほぼ失われたことで、長期的にはイノベーションの停滞も懸念されている。企業はしばしば、複雑な金融法規の解釈についてCFPBのような監督機関から指針を得ようとするが、同局の業務がほぼ停止している現状では、大きな不確実性が生まれている。
「金融サービス関連法は、業界の発展に不可欠な存在だ。だが、今やその問題に責任を持つ者がいない」と、ある規制コンサルタントは語った。


