今、世界中で人材発掘の取り組みが活発化している。 2014年、ソフトウェア開発者のマーク・アンドリーセンはニューヨーク・マガジンのインタビューで、その切実さについて次のように語った。
「私たちは優秀な人材を必死になって探しています。まさに、必死です。優秀な人材が、喉から手が出るほど欲しいのです。まるで砂浜に打ち上げられた魚のように口をパクパクさせてもがいているのに、業務に必要な数の優秀な人材を確保できません。優秀な人材がいると聞けば、世界のどこへでも探しに行こうという意気込みは、とてつもなく高まっています」
なお、労働市場で求められる「才能」と、教育現場で育成される「才能」は必ずしも一致しているわけではない。米国の例──トーマス・B・フォーダム財団(Thomas B. Fordham Foundation)の後援による「高度な教育に関する全国作業部会(National Working Group on Advanced Education)」の研究をまとめた新たな報告書を見てみよう。この報告書には過去数十年にわたって実践されている、ギフテッド(特別な才能に恵まれた子ども)を対象とする優れた教育指針が示されている。しかしギフテット教育という分野は、現行の教育政策では軽視されがちだ。実際、米国では同分野への支援が不足しており、大学における人材発掘プログラムが中止されたケースもある。
しかし高校や大学が優秀な人材を適切に選抜・育成できなくとも、現在の労働市場における深刻な人材需要を考えると、企業は人材確保の方法を何としてでも見つけていくはずだ。こうした取り組みはこれまでも、テクノロジー企業や大学院の理工系プログラムにおいて、主に海外からの優秀な移民を確保する手段として行われてきた。しかし近年では、若い才能を「学校の外」で育てる取り組みも広がりつつある。
私は先頃、起業家育成プラットフォーム、アントレプレナー・ファースト(Entrepreneur First)のヤニック・シリングを取材した。現在18歳のヤニックは、優秀な人材のテクノロジー企業の立ち上げを支援するタレントインベスター(人材投資家)で、人材と起業の専門家だ。公益法人アトラス・フェローシップ(Atlas Fellowship)の元フェロー、そして米ミネルバ大学の現役大学院生という横顔も持つ。わずか13歳でドイツの大学に入学したヤニックは、多くの起業家がそうであるように、一般的な学習過程に物足りなさを感じていた。そして今、彼は世界中で未来のスティーブ・ウォズニアック(Appleの創業者)となり得る人材を探している。
以下はヤニックへのインタビューだ。



