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2025.11.10 10:00

印刷からデジタル、AIの時代 「進化するPDF」は今後も働き方を変える力をもつ

アドビの定番アプリケーション、Adobe Acrobatを担当する立川太郎氏

アドビ独自のAIアシスタントを組み込んだAcrobat、その新機能

Adobe Acrobatのアプリケーションにも、生成AIのテクノロジーは大きな変革をもたらした。

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2024年に発表されたAdobe Acrobatの新機能である「Acrobat AIアシスタント」は、開いているPDFの内容を要約したり質問に答えてくれる、その名が示すとおり、アプリケーションに組み込まれたAIアシスタントだ。

現在、アドビはPDFドキュメントの作成・編集にも対応するAdobe Acrobat Standard(月額1580円)と、より高度な機能を搭載するAdobe Acrobat Pro(月額1980円)を月額固定のサブスクリプションプランにより提供している(価格はそれぞれ個人向け/年間プラン・月々払いの場合)。

閲覧や簡易的な使用を基本とするAcrobat Readerは無料のアプリケーションだが、こちらもAcrobat AIアシスタントに対応する。無料のスタータープランで試して、その有用性が実感できれば月額680円のアドオンとして、回数無制限のフルアクセス権が購入できる。

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すべてのAdobe Acrobat製品のユーザーに提供する「AIアシスタント」
すべてのAdobe Acrobat製品のユーザーに提供する「Acrobat AIアシスタント」

Acrobat AIアシスタントは、アドビが自社のクリエイティブ製品に組み込む独自の生成AIプラットフォームである「Adobe Firefly」とは別のものだ。ベースとするAIモデルも違う。提供方法もそれぞれに分けられており、Adobe Fireflyの方は「生成クレジット」という利用回数ごとに課金する仕組みになる。

Acrobat AIアシスタントは、例えば長文の報告書や複雑な契約書から必要な情報を迅速に引き出すような使い方に向いている。立川氏によると、Acrobat AIアシスタントのローンチ後から「PDFドキュメントの活用効率が飛躍的に高まった」というユーザーの声が多く返っているという。

生成AIの課題として常に挙げられるのが、AIがもっともらしい嘘の情報を提示する「ハルシネーション」だ。立川氏によれば、日本のユーザーの6割以上が、AIによる回答の正確性に懸念を抱いているという。この点を解決するため、Acrobat AIアシスタントには回答の根拠となった元のPDFファイルの箇所をすばやく参照できる「引用機能」がある。

「回答部分に引用元が表示されるので、ユーザーはすぐにファクトチェックができます。あくまでもアップロードされた文書の中から情報を取得するため、外部の不確かな情報を引っ張ってくることがありません。一定の情報の信頼性が担保されます」(立川氏)

アドビはこれまでのAcrobat Proの機能に加えて、さらに高度なAI機能とコンテンツ作成機能を統合した最上位プランの「Acrobat Studio」を発表した。すでに米国から先行ローンチしており個人向けの場合、月額は24.99ドル(約3800円)になる。PDFファイルの作成・編集に加えて、文書の読解からインサイトの抽出、そして新たなコンテンツの作成までをワンストップで実現する、新たなオールインワンのソリューションだ。

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編集=安井克至

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