昔ながらのロマンスは、とうの昔に終わった。私たちは今、キャンドルを灯しながらの夕食や豪華なサプライズ旅行を定期的に行うような、愛を派手に示す時代に生きている。しかし実際のところ、長続きする恋愛関係のほとんどは、このような派手な愛情表現によって支えられているわけではない。静かな「私たち」の瞬間、つまり、互いに交わす親密な視線や内輪のジョーク、パートナーが好むようにいれた紅茶などで育まれる。
これは「ささやかなロマンス」であり、感情的につながる小さな意図的な行為を通して愛を持続させる技だ。非日常的なことをするというよりは、日常的なことを意識し、愛情をもって行うことだ。だが、他の多くのロマンチックな言動ほど、パフォーマンス的ではないという違いがある。むしろ、知覚的だ。
ささやかなロマンスを恋愛関係の基準とするための、3つのステップを紹介しよう。
1. 気づく
ほとんどのカップルは、愛情が薄れたときに恋が冷めると私たちは思っている。しかし、実際にはお互いに「気づき」がなくなるときに冷めるのだ。
付き合い始めて間もない段階では、気づくことは自然なことだ。パートナーのコーヒーの飲み方や笑い方、真剣に考えているときの眉間の寄せ方などに注意がいく。だが時間が経ち、物事が定着するにつれて、注意はより重要だと思われる部分に移っていく。目新しさが消え、慣れが知覚を鈍らせる。
心理学的には、これは慣れのために起こる。専門誌『Frontiers in Psychology(フロンティアーズ・イン・サイコロジー)』に2019年に掲載された研究では、慣れ親しんだ刺激に反応しないようにする脳の傾向と定義されている。かつて注意を引いていたものが、普通の雑音に過ぎなくなるのだ。この意味で、ささやかなロマンスを取り戻すには、パートナーに再び注意を向けることを学ばなければならない。
つまり、これは見逃しがちな些細なことに意図的に注意を払うことを意味する。
・今度一緒に座ったとき、最近見逃していたかもしれない相手の小さなことを1つ観察してみよう。好きなことについて話すときに見せる興奮や、話しかけたときに見せる表情の柔らかさなど。
・気づいたことを言葉にする。例えば「仕事の話をするとき、目が輝いているのが好き」と言って、あなたが相手に注意を向けていることを示す。観察したことを言葉にすることは、あなたが相手を「見ている」とパートナーにはっきりと言うことになる。その結果、深い親密さが生まれる。
些細なことに注意を払うことは、恋愛感情を維持する鍵だ。そうすることで、そもそもパートナーと恋に落ちた小さな理由を思い出すことができる。



