「私たちは大きな市場に参入している。勝つことを期待されている。ファンも私たちの勝利を期待している。球団の収益については話せないが、オーナーはその収益の大部分を選手たちに還元している」と、ドジャースのデイブ・ロバーツ監督はワールドシリーズ進出を決めた後に語った。「これは、すべてのオーナーグループにとってのあるべき姿だ」

NBA(米プロバスケットボール協会)を例に挙げれば、最高の選手たちを揃えたチームはフィル・ジャクソンのようなヘッドコーチ(監督)を探すものだ。誰にでもチームの指揮を任せられるわけではない。
フィル・ジャクソンは、高年俸でプライドが高く我が強い選手たちとうまく付き合い、結果を出せる人物だった。デニス・ロッドマン、スコッティ・ピッペン、マイケル・ジョーダン、コービー・ブライアント、シャキール・オニールら錚々たる面々の才能を最大限に引き出し、監督としてNBA最多となる11回の優勝を果たした。
記録を見ただけではたやすく成し得たことに思えるかもしれない。実際には、それは絶え間なくバランスを取り続けることを求められる仕事だ。
ジャクソン監督は、こんな有名な言葉を残している。「(選手たちの)才能を完璧に配置して、その試合で最高に強い攻撃陣を組み立てることはできる。隙のない守備戦略を考案し、あらゆる事態を念頭に選手たちに準備させることもできる。しかし、選手たちがチームとして一体感を持っていなければ、その努力は報われない」
2025年のワールドシリーズを象徴する試合がある。驚異の延長18回までもつれ込んだ第3戦だ。どちらが勝ってもおかしくない展開だった。打席回数が9回を超える選手も出た。最終的に、18回に1点を挙げたドジャースが辛勝した。
たしかにドジャースは今季、球界で2番目に高い年俸総額を誇る。チームが高額年俸を提示してフレディ・フリーマンや大谷翔平、ワールドシリーズMVPの山本由伸ら多くの才能を獲得したのも事実だ。だが、彼らがワールドシリーズ第3戦に勝利できたのは、必ずしも数値化できないスキルがあったからだ。
それは、レジリエンス──難局にぶつかっても適応し、しなやかに乗り越え、さらに成長する力である。


