北米

2025.11.04 18:00

反ビリオネアのNY市長選候補マムダニを支持する富豪、GitHub共同創業者の名も

2025年11月3日、ニューヨーク市の市庁舎前、シティホール・パークにて記者会見を開催したゾーラン・マムダニ(Photo by Selcuk Acar/Anadolu via Getty Images)

2025年11月3日、ニューヨーク市の市庁舎前、シティホール・パークにて記者会見を開催したゾーラン・マムダニ(Photo by Selcuk Acar/Anadolu via Getty Images)

米国時間11月4日に投開票が行われるニューヨーク市長選で、「反ビリオネア」を掲げるゾーラン・マムダニの当選を阻止しようと少なくとも26人のビリオネアが数百万ドル(数億円)を投じている。しかし注目すべきは、当選が有力視されるこの候補を支援する2人のビリオネアの存在だ。

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拠出は約34億円に膨張、26人の富豪がマムダニ阻止に資金を投じる

フォーブスは先日、選挙資金の記録を調査し、「ビリオネアは存在すべきでない」と公言する民主社会主義者のマムダニを阻止するために資金を投じたビリオネアを洗い出した。その結果、合計2200万ドル(約34億円。1ドル=154円換算)以上を拠出した26人のビリオネア、もしくはビリオネア一家が確認された。彼らは世論調査で首位に立つこのニューヨーク州下院議員の当選を阻止しようとしている(その後、マイケル・ブルームバーグが、マムダニの対立候補であるアンドリュー・クオモ前ニューヨーク州知事を支援する団体に150万ドル[約2億3000万円]を寄付したことも判明した)。

2人の富豪がマムダニを支援──1人目は「クオンツの帝王」の娘、エリザベス・シモンズ

ところが、驚くことに10月27日時点で、マムダニを支持する側にも少なくとも2人のビリオネアがいることが明らかになった。

その1人目が2024年に亡くなった米クオンツヘッジファンド運営会社ルネサンス・テクノロジーズの創業者で、「クオンツの帝王」の異名を持つジム・シモンズの娘で、継母のマリリンと2人の兄弟と共に325億ドル(約5兆円)の資産を保有しているエリザベス・シモンズだ。彼女は8月、マムダニ陣営を支援する主要な独立系団体「ニューヨーカーズ・フォー・ローアー・コスト」に25万ドル(約3900万円)を寄付した。

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シモンズ家の資産は約5兆円、父の巨額献金が背景

エリザベス・シモンズのこの寄付は、彼女の家族が長年続けてきた政治献金の伝統の一環でもある。伝説的投資家として知られた父のジム・シモンズは、暗号解読者や数学教授としての経歴を経て1982年にルネサンス・テクノロジーズを設立。自動化数量モデルを用いた「メダリオン・ファンド」の顧客に、手数料控除後で年率平均30%のリターンをもたらしたことで有名だった。死去時の推定資産が314億ドル(約4.8兆円)にのぼったジム・シモンズは、2015年から2024年にかけての連邦選挙に1億ドル(約154億円)超を投じた民主党の大口献金者でもあった。

カリフォルニア州アサートン在住のエリザベス・シモンズは、カリフォルニア大学バークレー校でジャーナリズムを、スタンフォード大学で教育学を学び、教職の道に進んだ。スペイン語と英語のバイリンガル教育や、英語を第二言語とする生徒向け(ESL)の授業を担当した経験を持つ。現在は非営利団体の活動に積極的に関わっており、刑務所内の若者による雑誌『The Beat Within』でボランティアを行うほか、進歩派団体のMarshall Projectや、姉妹のオードリーが設立したFoundation for a Just Societyの理事を務めている。

彼女はまた、2007年以降に気候変動、教育、人権、科学の分野で活動する団体に総額13億ドル(約2002億円)近くを寄付した「ハイジング=シモンズ財団」の会長を務めている。父と同様に「ギビング・プレッジ」に署名し、資産の大半を慈善事業に寄付することを誓っている。

民主系への寄付継続、24年は約15億4000万円

マムダニへの資金提供は、彼女にとって初めての政治への関与ではない。連邦選挙の記録によると、彼女は2015年以降、民主党関連の候補や組織に2500万ドル(約39億円)以上を献金しており、2024年の選挙戦だけで約1000万ドル(約15億4000万円)を投じていた。また、今年だけでもすでに下院選挙を支援する民主党全国選挙対策委員会(DCCC)と、上院選挙を支援する民主党上院選挙委員会(DSCC)に合計約90万ドル(約1億3900万円)を寄付している。

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翻訳=上田裕資

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