2025.11.05 11:00

EVがガソリン車より「安価」になる日は近い、ニッチ市場から主流市場へ

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最新鋭の技術を駆使した電気自動車(EV)は長年にわたり高価だったことから、少数の人々の特権であり、未来の象徴として君臨してきた。だが、EVは今まさに価格の再設定を強いられている。

欧米や中国では、EVの平均価格が過去10年間で最も速い速度で下落する静かな価格革命が進行中だ。業界関係者はこれを「EVの価格崩壊」と呼んでおり、EVが初めてガソリン車より安く購入できるようになる日が間もなく訪れるかもしれない。

完璧な嵐

この変化の核心には、3つの要因が完璧な嵐のように重なっている。まず、EVに欠かすことのできないリチウムやニッケルなどの原材料価格が2022年のピーク時から60%以上急落した。次に、米EV大手テスラが積極的な値引きで世界的な価格競争を引き起こした。さらに、比亜迪(BYD)やZeekr(ジーカー)といった中国の大手自動車メーカーが手頃な価格で機能豊富なEVを市場に大量投入していることだ。米AP通信が報じたところによると、中国が欧州など海外へ輸出したEVやプラグインハイブリッド車(PHV)を含む「新エネルギー車」は、9月に前年同月比100%増の22万2000台に達した。

その結果、米国のデトロイトから日本の東京に至るまで、自動車メーカーは競争に生き残るため、利益率を大幅に削減し、製造戦略を見直している。販売業者も冷え込みを感じている。自動車情報サイトのカーコーチ・レポートは「かつては異常に高い値段で販売されていたEVが、今では販売店で長く在庫として残っている。買い手側は再び自分たちに交渉の余地があることに気づき始めている」と伝えた。

しかし、短期的な衝撃が投資家を動揺させる一方で、長期的な影響は甚大だ。EVが真の意味でガソリン車と同等の価格を実現すれば、あるいはガソリン車より安価になれば、いかなる政府政策よりも速くEVへの移行が世界的に加速する可能性がある。

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翻訳・編集=安藤清香

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