7. フランス
総資産:15兆5080億ドル(約2388兆9000億円)
フランスは、気張らない優美さで人々を誘惑する。パリはロマンチックな魅力をきらめかせ、チャーミングなカフェ、優雅な橋、街路樹のある大通りが、生き生きと息づくようなカンバスをかたちづくる。光あふれるベーカリーに並ぶ、サクサクした焼き立てのクロワッサン。宙を漂うアコーディオンの調べ。セーヌ川のほとりをそぞろ歩く恋人たち。
一方、プロヴァンスは、ラベンダー畑、ブドウ園、間断のないセミのコーラスで活気づく。リヴィエラでは、海岸の魅力が燦然と輝く。小石の浜辺で日光浴する人たちがくつろぎ、ターコイズブルーの港にヨットが浮かび、ストライプのパラソルの下でロゼワインが注がれる。
だが、ノルマンディのたたずまいはおごそかだ――その険しい崖には痛切な歴史が刻まれている。風雨にさらされた掩蔽壕(えんぺいごう)の近くにはケシが生え、潮がオマハ・ビーチ(1944年、連合国によるノルマンディ侵攻作戦における最初の上陸地点の一つにつけられたコードネーム)を静かに洗っている。
8. カナダ
総資産:11兆5500億ドル(約1779兆2000億円)
カナダは、一服の新鮮な空気のようだ。広大で、手つかずで、静かな威厳をたたえている。
バンクーバーは、塩辛い海の霧と、洗練された現代都市とのバランスを保つ。森に覆われた山々と、ガラスばりの高層ビルを輪郭とするこの街では、サイクリストが寿司バーを通り過ぎ、ヒマラヤスギの香るトレイルを颯爽と走り抜ける。
ノバスコシアでは、岩がちの海岸が、海とともに生きる心とぶつかりあっている――ロブスターの罠や、大西洋の霧を貫く灯台のまたたきを思い浮かべてほしい。空高くそびえるロッキー山脈は、氷河湖をふところに抱き、雪に覆われた峰の下をグリズリーが歩きまわる。モレーン湖ではカヌーが滑走し、松に縁どられたトレイルのそばで、エルクが草を食む。
9. 韓国
総資産:11兆410億ドル(約1700兆7900億円)
コンパクトでダイナミックな韓国には、伝統が深く染みわたっている。首都ソウルはネオン色のエネルギーにあふれ、伝統的な王宮が、ガラスばりのタワーに挟まれている。夜市では、スパイシーなトッポギ(餅料理)や焼きイカがじゅうじゅうと音をたてている。
済州島は火山の美を湛え、入り組んだ溶岩洞窟、漢拏(ハンラ)山のクレーター・トレイル、エメラルド色の水面に流れ落ちる滝がある。田園地方には、穏やかに起伏する緑の風景が広がり、鏡のような水田、智異(チリ)山などの霧に包まれた峰、太古からある松の木の下で僧が読経する寺院が点在する。
10. イタリア
総資産:10兆6000億ドル(約1632兆8600億円)
イタリアは、生き生きと息づく傑作だ。ローマでは、装飾的な噴水や遺跡が、コロッセオの大歓声や、黄昏時のナヴォーナ広場の静寂といった帝国の壮麗さを伝えている。ヴェネツィアではゴンドラが、揺れる迷宮のような運河を流れ、まるで水でできた詩のようだ。フィレンツェは、ルネサンスの輝きを放つ。そのドームや美術館は、芸術的な壮麗さに満ちている。ちょうど、静かな威厳をまとって立つミケランジェロのダビデ像のように。
断崖絶壁や複雑な入江が入り混じるアマルフィ海岸では、サファイア色の海のすぐ上まで建物が並ぶ。切り立った崖にしがみつくようにしてレモンの果樹園が並び、パステルカラーの村々が夢のように寄り集まる。
内陸では、起伏するブドウ園と、丘の頂にあるテラコッタの町が金色の光を浴びている。ひなびたセラーではワインが注がれ、教会の鐘は、のんびりとした暮らしのリズムを告げる。そして、王冠を飾る宝石はシチリア島だ。そこでは、エトナ火山のドラマがくすぶっている。


