サイエンス

2025.11.02 17:00

コロンブスの船で新大陸に侵入した、意外な「3つの生物」

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3. 伝染病を運ぶ蚊

コロンブスの船に乗っていた蚊に関する史実を、種のレベルで特定することは、他の生物よりも難しい。しかし、蚊が「コロンブス交換」(大航海時代以降、旧大陸の欧州やアジアと新大陸の南北アメリカの間で植物や食料、生物などが行き来したこと)における意図せぬ同乗者だったことは、信頼の置ける教育資料でも触れられている。

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Mosquitopia: The Place of Pests in a Healthy World(蚊の楽園:健全な世界における害虫の役割:未邦訳)』で説明されているように、病原菌を媒介する生き物の移動は、コロンブス交換における重要な要素だった。

蚊は、成虫になると自力で長距離を移動することができない。しかし、幼虫や卵であれば話は別で、船に積まれた水桶や船底の汚水、水差しなどのなかで生き延び、移動することができた。コロンブスが新世界にたどり着き、さまざまな水の容器が船から降ろされると、休眠していた蚊や、卵から孵った幼虫は、そこで新たな個体群を確立していった。

旧大陸からやって来た蚊は、カリブ海の熱帯性の港に上陸後、受け入れてくれる環境を難なく見つけることができた。よどんだ水や入植地があったし、免疫をもたない人間もたくさんいた。つまり蚊の到来は、うっとうしい新たな害虫としてだけではなく、病気を媒介する生き物を持ち込んだことを意味する。肝心なのは、蚊が媒介する病気が、ネイティブアメリカンがそれまでにかかったことのない黄熱病やデング熱などだったことだ。

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伝染病を媒介する虫の到来は、疫病生態のネットワークを変化させたという点で重大な意味をもつ。先住民はそれまで、そうした病気を媒介する生物に出会うことなく進化してきた。しかし、旧世界の病原体を広める蚊が到来したことで、人間の生命や生活環境、集落の配置パターン、土地利用の方向性が大きく変わることとなった。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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