サイエンス

2025.11.02 17:00

コロンブスの船で新大陸に侵入した、意外な「3つの生物」

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1. クマネズミ(学名:Rattus rattus)

クマネズミは「シップ・ラット(船のネズミ)」とも呼ばれ、密航した種のなかで最も典型的な事例と言えるだろう。学術誌『Biological Invasions』に掲載された研究によると、クマネズミは、旧大陸から新大陸に向けて出航した船にこっそり乗り込み、北米にたどり着いた可能性が高い。

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同研究によると、とりわけクマネズミは、1492年にコロンブスと共にたどり着いたことを示す考古学的・歴史的なエビデンスがあるようだ。正確な記録は存在しないものの、南北アメリカでは、1500年代のはじめころから港町でクマネズミの遺骸が発見されていた、と研究では指摘されている。

クマネズミは、15世紀後半にはすでに、さまざまな船でよく見かける生き物として知られていた。彼らは、人間の食料をエサとしながら、船の梁やたるに潜んでいた。つまり、ずっと前から人間の生活環境で繁殖してきたわけだ。コロンブスの船には、乗組員が知らないだけで、食糧庫や藁のベッド、じめじめした船倉など、クマネズミに最適な空間があった。

カリブ海に浮かぶイスパニョーラ島などの島々にコロンブスの船が寄港すると、クマネズミは、人間の乗組員とともに船を降りて上陸した。当時のそうした島々の生態系は、ネズミのような侵略的外来種を受け入れたことが1度もなかった。そして、豊かな自然と、人間が大量に廃棄する食料は、クマネズミが生き延びる上で申し分のない環境だった。クマネズミにとって、港や倉庫、海沿いの集落で、急速にコロニーをつくり上げるのはあまりにも簡単だった。

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北米に渡ったクマネズミは、現地の生態系に深刻な悪影響をもたらした。地上に巣をつくる在来種の鳥類の卵を捕食したり、北米原産のげっ歯類と競い合ったりしたほか、入植者ならびに先住民の食糧庫にも大損害を与えた。

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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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