サイエンス

2025.10.31 18:00

約4万年前の古代微生物、アラスカの永久凍土から「蘇生」 研究

米アラスカ州フェアバンクス近郊にある米陸軍工兵隊の永久凍土トンネル(Credit: Tristan Caro)

米アラスカ州フェアバンクス近郊にある米陸軍工兵隊の永久凍土トンネルの壁からコアサンプルを掘削する米寒冷地研究工学研究所(CRREL)の研究者(Credit: Tristan Caro)
米アラスカ州フェアバンクス近郊にある米陸軍工兵隊の永久凍土トンネルの壁からコアサンプルを掘削する米寒冷地研究工学研究所(CRREL)の研究者(Credit: Tristan Caro)

最悪ケースのシナリオでは、強い感染力を持つ可能性のある病原体が氷の融解によって環境に放出される恐れがある。2015年の研究では、3万年前のウイルスであるモリウイルス・シベリカム(Mollivirus sibericum)が今なお現代のアメーバに感染できることが明らかになった。また、100年前の凍結した組織サンプルからは、原形を保つ天然痘ウイルスとスペイン風邪ウイルスが発見されている。2016年にシベリアで発生した炭疽菌の集団感染は、トナカイの死骸に保存されていた病原体が原因と考えられている。数十年にわたり凍結していた死骸は、異常な暑さが続いたことで解けて地中から現れ、いまだ感染力のある炭疽菌の胞子を放出したのだ。

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今回の論文「Microbial Resuscitation and Growth Rates in Deep Permafrost: Lipid Stable Isotope Probing Results From the Permafrost Research Tunnel in Fox, Alaska」は学術誌Journal of Geophysical Research: Geosciencesに掲載された。論文はここで閲覧できる。

追加資料とインタビューはコロラド大ボルダー校のダニエル・ストレインから提供された。

forbes.com 原文

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翻訳=河原稔

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