経営・戦略

2025.11.02 09:15

タイパ重視のZ世代が商業施設に長居してしまう理由とは

Getty Images

とくにZ世代を惹きつけるのは、推しイベントやコラボ企画、期間限定のイベントやショップだ。これらは滞在時間を長くするばかりでなく、それを目指して遠くからでも訪れたいという来館意欲を高める効果があることがわかる。雰囲気や内装が心地いい、友人や恋人といっしょに楽しめる、ここだけで買える商品があるという固定的な要素とは別に、いわば「後付け」で若い人たちを呼べる要素と言える。

advertisement

実際、限定イベントやポップアップストアがあれば、遠い商業施設へも行くかとの問いに、「そう思う」と「やや思う」と答えた人は7割を超えた。

また、Z世代が商業施設に求める機能やスペースを聞くと、休憩または作業スペースが最多となった。また、キャッシュレス対応、モバイルオーダー、学べるまたは体験できる場、SNS映えするスポットと、機能性と快適性の両立を求めていることもわかる。

カウンターワークスCEO室の中原祐一郎氏は、Z世代にとって「訪れることと発信することは地続き」であり、SNSで体験を投稿すると、それを見た人の来館動機が生まれる好循環が形成されると話す。ポップアップストアやイベントは、まさにそうした「ユーザー生成コンテンツ」の起点になるということだ。

advertisement

早稲田大学ショッピングモール研究会の坂部匠音代表は、Z世代には短時間滞在での目的達成を重視する傾向がある一方で、体験や共感につながるものが来館意欲を高め、利便性よりも「体験価値」を重視していると指摘する。商業施設に若い人たちを呼び込み、長時間楽しんでもらうためには、イベントやポップアップストアなどによる「体験価値」の提供が欠かせないということだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事