このような時代だからこそ、1人1人に寄り添い、共感と思いやりを示すことで、力強いリーダーシップを発揮できる。もちろんこうした行動は、人として当然のことと思うかもしれない。しかし、これらを組織内で意識的に実践することで、あなた自身がリーダーとして成長し、それが成果へとつながっていく。
事実、共感力のあるリーダーのもとでは、社員のやる気や創造性が高まることが報告されている。カタリスト(Catalyst)の調査によれば、そうした職場では社員の定着率が上がるだけでなく、社員が組織を「多様な人が活躍できる場」と感じられるようになり、ワーク・ライフ・バランスの充実度も高まるという。
eLifeに掲載された進化生物学に関する研究によると、リーダーの共感力を感じた部下は協力的になり、みずからも共感を示すようになるという。この他、クアルトリクス(Qualtrics)の調査では、リーダーの共感を得た部下は、メンタルヘルスが向上することも報告されている。共感力を持つリーダーのもとでは、社員がより主体的に組織に貢献し、高いパフォーマンスを発揮できるようになるのだ。
優れたリーダーは、自信と謙虚さを兼ね備えている。明確な指示を与えつつ、自分だけが正しいとは考えず、他者の多様な視点を尊重する。そして、リーダーとして部下の状況や取り組みを把握し、質問し、耳を傾け、サポートすることで、部下の力を引き出す。また、部下が教えてくれた意見や視点、貢献に対して感謝することも忘れない。
4. 人の模範となる行動をとる
世論調査では、実に77%もの人が「尊敬できるリーダーがいない」と感じている。教育分野では74%、医療分野では69%、ビジネス分野では61%が、それぞれの分野のリーダーを、尊敬したり模範にしたりできる存在と思っていない。
ここで確認しておきたいのは、人は他者の行動や言動を通して多くを学ぶということだ。なかでもリーダーの振る舞いは、強い影響力を持つ。人々はリーダーの選択や行動を注視しており、リーダーであるあなたの一挙手一投足が周囲に大きな影響を与える。
だからこそ、人の模範となる行動をとることが力強いリーダーシップにつながる。「手本にしたいリーダーがいない」と感じる人が多い現代、あなたの存在が新たな希望となるのだ。
人を動かし、成果を生み出すリーダーシップ
「安定性」「明確さ」「誠実さ」「透明性」「共感力」「思いやり」を行動に表そう。リーダーに求められる行動指針は他にも多くあるが、とりわけこの6つは、リーダーへの不信感が高まっている今こそ、最優先で取り組みたい項目だ。より良い明日を信じ、これらを実践することで、あなた自身も成長し、周囲にもポジティブな影響を与えられるリーダーになれる。


