2. 誠実さと透明性を示す
ザ・ハリス・ポールとUSニューズ&ワールド・レポート誌が米国で実施した調査では、82%もの人々が「ビジネスリーダーの価値観は一般の人々とかけ離れている」と回答。また、エデルマン(Edelman)が28カ国・約3万2000人を対象に行った調査によると、61%の人々が「リーダーは意図的に真実をねじ曲げて伝えている」と感じている。
こうした結果からも今、人々が求めているのは誠実、かつ透明性を示すリーダーであることがわかる。人々が大切にする価値観をしっかり守ることが、信頼構築への第一歩だ。オックスフォード大学が世界60カ所以上の社会を比較した研究によると、人は文化や地域を問わず、共通して次の7つの道徳的行動を重視しているという。
1. 家族を大切にする
2. 仲間を大切にする
3. 互いに助け合う
4. 勇気ある行動をとる
5. 目上の人や秩序を尊重する
6. 資源を公平に分配する
7. 他者の権利や所有物を尊重する
これら7つはすなわち、リーダーが心がけるべき行動指針だ。
また、人は理解できないものを信用しない。だからこそ信頼を築く鍵は、透明性にある。なぜその行動をとるのか理由を伝え、意思決定を透明性のあるものにする。その際は無理に理想像を演じず、自分らしくあればいい。そして、言葉と行動を一致させることにも重点を置きたい。
ある世界的企業の優れたリーダーから、こんな言葉を聞いたことがある。「行動があまりにも目立つと、その人の言っていることはほとんど耳に入りません」まさにその通りで、言葉と行動が一致しない場合、人は言葉ではなく行動の方を信じてしまう。よって、リーダーは自らの言葉と行動を常に一致させるよう努めなければならない。
例えば社員を大切にすると言うなら、仕事を任せ、成果を認めるという行動が必要だ。イノベーションを重視するなら、挑戦・検証・実験を奨励し、失敗してもそこから学び、改善する機会とする。成果を重視するなら、責任を持たせ、フィードバックを提供し、成果を上げた者には報酬を与える。
その人に何を期待するかを明確にすることも重要だ。さらに、優れたリーダーは実現できることだけを約束する。その約束をしっかり守ることで、部下にも同じ基準を求められる。
3. 共感と思いやりを示す
人々の社会不安を示す統計もある。エデルマン(Edelman)の調査によると、61%から88%の人が今、失業やインフレーション、気候変動、ハッキング、核戦争、情報戦争など、さまざまなリスクの不安を抱いているという。
こうした不安と不確実性のなかで人々は、「リーダーが自分たちの利益を最優先に考えてくれる」とは思っていない。ザ・ハリス・ポールとUSニューズ&ワールド・レポート誌の共同調査では、85%の人が「ほとんどのリーダーは、人の利益よりも自分の利益や権力、覇権を優先している」と回答している。


