経済・社会

2025.10.29 08:45

世界経済フォーラムは、日本のユニコーン創出に貢献できるのか。日本代表インタビュー

borisbelenky - stock.adobe.com

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ダボスで開催される年次総会で知られる、世界経済フォーラム(以下、WEF)が新たなフェーズを迎えている。2025年4月に創設者のクラウス・シュワブが会長職を退任し、8月には暫定共同議長としてブラックロック会長兼最高経営責任者(CEO)のラリー・フィンクとロシュ・ホールディングス副会長のアンドレ・ホフマンが選出された。

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日本でもトップの交代があった。8月に、同フォーラムでアジア太平洋担当リージョナル・アジェンダ副部門長などを務めてきたビング・チョムプラソッブが日本代表に着任した。日本オフィスの創設以来、日本人以外が代表に就くのは初めてのこととなる。

気候変動対策など、世界には喫緊かつ共通の課題が山積している。WEFの日本代表として、日本の官民の取り組みや視点をグローバル社会にどのように反映させていくのか。日本経済の課題のひとつである有望なスタートアップの創出・育成に、WEFはどう貢献できるのか。チョムプラソッブ日本代表に聞いた。

Bing Chomprasob◎世界経済フォーラム日本代表として、日本における政府や企業、学術界、市民社会との連携を統括。USAID(米国際開発局)、プラスチック廃棄物撲滅アライアンス、JPモルガン・チェース財団などで教育、人材育成、持続可能性、循環型経済などの分野における官民連携に携わった実績ももつ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)にて都市化と開発の理学修士号を、カリフォルニア大学アーバイン校にて政治学および国際関係学の学士号を取得。

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━━日本代表に就任して以来、日本の政府関係者やパートナー企業、ヤング・グローバル・リーダー(YGL)など、さまざまな人たちとの対話を重ねています。世界規模の課題が複雑さを増すなか、日本のステークホルダーを巻き込みながら、これらの課題解決にどのように取り組む予定ですか。

WEFのパートナー企業には、三井物産や三菱商事といった総合商社から日立製作所、ソニー、NTTデータなどのIT企業、商船三井のような海運会社まで、幅広い産業界のリーダーが名を連ねている。これらのプレイヤーとの連携は、気候変動対策やネットゼロの達成などに不可欠だ。

ネットゼロを実現する唯一の方法は、「規模の経済」に到達することだ。世界中の大企業がクリーンエネルギーに投資したり、技術を採用したりしなければならない。WEFには、大企業と密に協力しながら、彼らが自社のみならず経済や社会にも良い決定を行い、ネットゼロやゼロエミッションといったマクロトレンドを推進するのを助ける役割がある。

例えば、私たちは「ファースト・ムーバーズ・コアリション」というイニシアチブを持っている。クリーンエネルギーの技術の多くは初期段階にあり、投資と商業利用の促進が不可欠だ。このイニシアチブではまず需要側に焦点を当て、クリーン技術を採用して世界をネットゼロに導く意思のある企業を可視化する。これにより、供給側にいるイノベーターやサプライヤーに明確な(需要にかんする)シグナルを送り、技術開発を加速させる。

このファースト・ムーバーズ・コアリションに、日本企業として初めて参画したのが商船三井だ。同社は30年度に、重油の使用量約330万トンのうちゼロエミッション燃料の利用割合を5%にするという計画を打ち立てている。このような公約は強力なシグナルになる。他の企業にも同様の取り組みを促すとともに、イノベーターに対して「持続可能な燃料の供給拡大が必要だ」という明確なメッセージを送ることになるからだ。

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