━━イノベーションの牽引役として、期待が高まるのがスタートアップの存在です。
イノベーターはソリューションの創出者であり、スタートアップはその鍵を握る重要なプレーヤーだ。
エネルギーに関する国際会議「東京GXウィーク」の一環で、9月15日に大阪で行われた「持続可能燃料閣僚会議」に参加してきた。各国閣僚を含む政府関係者や有識者が多数出席していたが、興味深かったのは、彼らがスタートアップを含む民間企業のプロジェクトやイニシアチブの存在や意義を強調していたことだ。
閣僚会議の共同議長サマリーでは、液体バイオ燃料やバイオガス、低炭素水素などの持続可能な燃料の生産と利用を35年までに少なくとも4倍にする(24年比)ことを目指すと公言していた。この目標を達成するうえで、スタートアップは決定的な役割を果たすだろう。WEFの日本代表として、日本が強力なイノベーション・エコシステムを構築するのを支援するとともに、その仕組みを世界につないでいきたい。
━━WEFは、日本のスタートアップの活躍を後押しし、ユニコーンの創出に貢献できると思いますか。
WEFのコミュニティの真の強みは、初期段階にあるスタートアップからユニコーン、さらには多国籍企業までを包含している点にある。さまざまな成長段階にある企業が相互補完的に連携するプラットフォームこそが、日本のスタートアップをグローバル・ユニコーンへと育成する基盤になる。
WEFがグローバル・イノベーターについて話すとき、そこには3つの異なるカテゴリがある。テクノロジー・パイオニア、グローバル・イノベーターズ、そしてユニコーンだ。
テクノロジー・パイオニアのカテゴリでは、グローバルな課題に対するイノベーションやソリューションを模索中の、将来有望なスタートアップを特定しようと試みている。日本オフィスでも、日本から生まれたエキサイティングな産業を特定し、将来有望な分野を積極的に発掘していく。
━━WEFは「広島AIプロセス・フレンズグループ」のパートナーズコミュニティに名を連ねています。AIの分野において、WEFはどのように貢献できると考えますか。
「広島AIプロセス」(以下、HAIP)は、WEFが主導する「AIガバナンス・アライアンス」(以下、AIGA)の延長線上に位置する。AIGAではテック業界のリーダーや各国政府、アカデミア、市民団体など、多様なステークホルダーを結集し、責任あるAIの開発・応用・ガバナンスに取り組んでいる。
日本が23年5月にG7議長国として立ち上げたHAIPの行動規範と原則は、G7以外の地域にも適用可能だ。我々の協力の核心は、アフリカやラテンアメリカを含む新興経済圏でこれらの原則が機能するかどうかを検証することにある。機能するようであればその理由を、機能しないとすれば調整が必要な点を浮き彫りにする。
24年は、日本政府とともにルワンダの首都キガリやチリでワークショップを開催した。25年10月下旬には、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議に合わせてマレーシアでワークショップを開催する予定だ。WEFはグローバル・サウスを含むさまざまな国とつながりをもっている。この連携力こそが、日本政府が我々に期待していることだ。
26年は日本のスタートアップや大企業がもつ知見や技術と、新興経済圏とを結ぶ「架け橋」の構築に注力したい。AIの採用率が低い地域でHAIPが掲げる行動規範や原則を実装するためには、さまざまな能力の構築が不可欠だ。例えば、アフリカでは電力インフラが不足している。技術の移転や人材育成など、現地の課題に即したキャパシティ・ビルディングが急務だ。WEFとして、さまざまな国と協力しながらこれらの課題に取り組み、真に包摂的なAIガバナンスの実現を目指す。


