大谷はナ・リーグ地区シリーズで18打数1安打(打率.056)に終わり、ブルワーズとの地区優勝決定シリーズでも初戦3試合は7打数1安打(打率.143)と不振が続いたが、第4戦で「ショー・アップ(Sho-ing up)」し、驚異の大活躍で試合を決定づけた。先発して6回以上を無失点に抑え、10奪三振を記録。同時に打者として3本の本塁打を放ったのである。ちなみにこれは投手として許した2安打を上回る。中でも飛距離469ft(約143m)の特大弾は場外へと消えた。多くの専門家がこの活躍を、野球史上類を見ない個人最高の試合パフォーマンスだったと評している。
「精神的なサビつき」のリスクも
それから、選手たちの頭の中、つまりメンタル面の問題もある。実戦から長く離れると、選手がメンタル面の鋭さを失う可能性があるのだ。つまり、実戦のプレッシャーへの対応が万全でなくなるかもしれない。そして、ほぼ全てのトップレベルのプロスポーツにおいて言えることだが、メンタル面の強さは重要な優位性となる。打者なら、ほんの少しの集中力の差が三振と本塁打を分ける。野手なら捕球と一塁への送球でミスを犯すリスクが高まる。投手なら打者を打ち取れるか、決勝点を許すかの明暗を左右する。
休息は充分
一方で、ドジャース側はたっぷり休息を取れる。これは体の回復に役立つだろう。とりわけ投手ローテーションの点では大きな助けとなる。ドジャースのポストシーズンの立役者は投手陣だ。ブレイク・スネル、山本由伸、タイラー・グラスノー、大谷の先発陣4人は、今年のポストシーズンでこれまでに64回3分の1を投げ、驚異的な「1.40」という防御率を叩き出している。彼らに対する相手打者の三振率は39.4%と、これまた驚異的な数字だ。いずれも野球史上に残る素晴らしい成績である。
そして人材不足が課題だったリリーフでも、新人の佐々木朗希がクローザーに起用されて「切り札」となった。佐々木が投げるフォーシームの速球は、平均球速99.2mph(約159.6km/h)に達しており、10月に対戦した打者16人にわずか1安打しか許していない。そして、スプリットでは打者の50%を空振りに仕留めている。とんでもない威力だ。
佐々木はシーズン開幕時には先発だったが、故障者リスト入りしてマイナーで調整後、投球フォームを修正し、ブルペン投手を経由してメジャー復帰を果たした。ポストシーズンではこれまでに7試合に中継ぎ、抑えとして登板し、3セーブを挙げている。この6日間はよい休息となったことだろう。


