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2025.10.28 07:15

練り上げた企画書は「寝かせろ」 岩手・夏油温泉の冬籠もりプログラム

プレスリリースより

プレスリリースより

岩手県北上市の夏油(げとう)温泉は、11月から翌年の5月まで豪雪に閉ざされるため、温泉宿は休業となる。その間を利用して、書きかけの原稿や企画書などを預かり、半年間熟成させるというサービスが始まった。ずっと練ってきたアイデアを、ちょっとの間、冷蔵庫で寝かせる感覚だ。

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秘湯の湯治宿「夏油温泉観光ホテル」を運営するGETO Villageは、同ホテルが休業する冬の半年間、原稿や企画書などの書きかけの作品や、買ったけどしばらく読む時間が取れない本などを保管する「時間の湯治」プログラムの参加者募集を開始した。雪に閉ざされ静寂に包まれる「時間の止まる感覚」を創造的な時間に変換するというのがこの企画の目的だ。

ヒトも企画も、温泉宿で寝かせることで新たな発想が湧く、と同社は話している。預けた作品は、囲炉裏と古時計のある静かな場所に保管される。

夏油温泉観光ホテル公式ホームページより。
夏油温泉観光ホテル公式ホームページより。

希望者は、GETO VillageとLINEで打ち合わせを行った後、直接持ち込むか郵送で作品を届ける。保管できるのは、企画書、原稿、ノート、書籍など。保管できないのは、金銭、貴重品、USBメモリーなどのデータ媒体、なまもの、臭気をともなうもの、公序良俗に反するもの、他者の権利を侵害するものなどだ。

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冬の間は、建物が3メートルを超える積雪に埋まり、外気温は氷点下、室内は低温多湿の環境となるため、作品が傷まないよう、湿気対策を施した箱や封筒に入れて預ける。詳細は事前のLINEで相談できる。

受け取りは2026年5月以降の営業期間中だが、6月末にはGETO Villageが毎月開催している「ビレッジ本会議」にて「再会の儀」(仮称)が実施される予定だ。預けたものは、かならず本人が現地に赴いて、手渡しで受け取る決まりだ。

夏油温泉観光ホテル公式ホームページより。
夏油温泉観光ホテル公式ホームページより。

11月から5月まで閉鎖される温泉宿を、作品の熟成というストーリーで活用することで、利用者と夏油温泉との心のつながりを醸成するという、心をくすぐられるプロジェクトだ。

申し込みは、夏油温泉観光ホテル公式LINEからのみ行える。トーク画面で「時間の湯治 参加希望」と投稿して手続きを進めてほしい。

保管料金は無料。応援金は大歓迎とのこと。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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