グローバル化粧品OEMの革新者──伊勢社長が描く次世代モデル
「クライアントの想いを形にする。それが私たちの仕事です」
OEM(受託製造)の世界で革新を続けるのが、コスメテックジャパンの伊勢社長だ。
有名格闘家のコスメ、有名YouTuberの香水など、話題性の高い商品を次々とプロデュースし、日本の化粧品OEM業界に新しい風を吹かせている。
異色のキャリアが生んだ柔軟な視点
伊勢社長は、中国系メガバンク、広告代理店、小学校英語教師という異色の経歴を経て、同志社大学で日本語を学び、大学院に進学。
その後、桃谷順天館へ入社。入社、16年目でグループ会社のコスメテックジャパン社長に就任した。
「普通じゃない経歴が、むしろ強みになった」と伊勢社長は語る。
多様なバックグラウンドが、固定観念にとらわれない経営判断を可能にしている。
コロナ禍を“逆風”から“追い風”へ
2020年のパンデミックで化粧品業界が大打撃を受ける中、伊勢社長は中国で築いたネットワークを活かし、深刻なマスク不足に迅速対応。
「どこにもマスクがないのに、コスメテックジャパンなら手に入る」
この対応力が高く評価され、新規取引先を次々と獲得。
危機をチャンスに変える経営判断で、同社を新たな成長軌道に導いた。
“誠実さ”を武器に世界市場へ
伊勢社長は、日本のOEMの弱みを「スピード」、強みを「誠実さ」と分析する。
「海外では1カ月で製品が完成しますが、日本では3〜4カ月かかる。しかし、日本企業は**表示成分と中身の差がない“正直な品質”**で世界の信頼を得ています。」
その誠実さを武器に、世界最大手のドラッグストアチェーンとも提携を拡大。
日本品質 × 世界販売という新しいバリューチェーンを確立した。
AI×人間力──次世代経営の形
会議は10分以内。AIで議事録を自動生成し、自らの意思決定データを学習させるなど、DXを自社運営に落とし込んでいる。
さらに、製品納品後のSNS運営支援やライブ販売のサポートまで伴走する。
「想いと予算だけご用意ください。あとの道のりは、私たちが共に走ります」
その姿勢に共感し、国内外からの依頼が絶えない。
伝統と革新、その交差点に立つ企業
コスメテックジャパンは今、400年の伝統を背景に、若手幹部主導でMVV(Mission・Vision・Value)の再定義を進めている。
創業者が築いた「順天」の理念と、伊勢社長が推進する「革新とスピード」。
両者が交わるその先にあるのは、伝統と革新が共存するグローバル企業という新たな企業像だ。
過去を誇るだけでなく、未来を切り拓く。
その姿勢こそが、次の100年を生き抜く日本企業の真の競争力である。


