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2025.10.27 08:00

「砂糖」で評価額6000億円、トランプから「甘い報酬」を受ける富豪一族のビジネス

ペペ・ファンジュール(Photo by Steve Eichner/WWD via Getty Images)

トランプ政権下の「甘い取引」、ドミニカでの疑惑と制限解除

また、フロリダ・クリスタルズ以外のファンジュール家の代表的な事業とされるのが、ドミニカ共和国の農業・観光コングロマリット「セントラル・ロマーナ」だ。ルクセンブルクの企業記録によると、一家は同社株の35%を保有しており、その評価額は約1億9000万ドル(約289億円)に上る。セントラル・ロマーナはドミニカ共和国最大の砂糖生産企業でもあるが、2022年、同国の一部農場で強制労働が行われているとの疑惑を受け、バイデン政権によって米国への輸入を禁止された。当時、米政府による調査では、弱い立場の労働者の搾取や隔離、賃金の未払い、劣悪な労働・居住環境、過度な残業など、11項目に及ぶ強制労働の兆候が指摘されていた。

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セントラル・ロマーナの代理人は、「当社はこうした政府の主張には一貫して異議を唱えてきた」と述べたうえで、「農業労働者向けの無償宿舎や学校、衛生施設などに5000万ドル(約76億円)以上を投資しており、ドミニカ共和国の法定最低賃金より50%高い給与を支払っている」と説明している。

一方、バイデン前政権が同社に科した制限措置は2025年3月に解除され、セントラル・ロマーナはトランプ政権初年度の「数少ない海外の勝者」のひとつとなった。米国税関・国境警備局(CBP)の報道官によると、この命令は「労働基準の改善が文書で確認され、独立した情報源によって検証されたことを受けて『修正』された」という。

「セントラル・ロマーナは指摘された懸念点に対処するための措置を講じた。CBPは今後も遵守状況を厳重に監視していく」と、報道官はフォーブスに語った。

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トランプへの約10億円超の献金で続く蜜月関係

ペペ・ファンジュールは依然としてトランプに近い有力支援者として存在感を保っている。2016年と2020年の大統領選では資金集めイベントに出席し、また自身でも開催した。2024年5月には、トランプがニューヨークの裁判所で業務記録改ざん34件で有罪判決を受けたその日に、マンハッタンのアッパーイーストサイドにある自宅でトランプの資金集めイベントを共同開催していた。

ファンジュール家とその関連企業は、2016年以降にトランプの資金調達委員会やスーパーPACに対して累計700万ドル(約10億6000万円)以上を献金している。連邦選挙委員会およびフロリダ州政府のデータによれば、一家は1977年以来、連邦およびフロリダ州の選挙運動やPACに少なくとも2400万ドル(約36億円)を拠出しており、その対象は民主・共和の両党に及ぶ。フロリダ・クリスタルズは1999年以降、連邦議員へのロビー活動に2000万ドル(約30億円)以上を費やしている。

国際相場の約2倍、価格支持と関税が支える米国の砂糖価格

米国では何十年にもわたり、政府による価格支持策や低金利融資によってサトウキビ糖の価格が押し上げられており、セントルイス連邦準備銀行のデータによると、米国内の砂糖価格は世界市場のほぼ2倍に達している。しかも、こうした政府支援が終わる気配はない。

政府が製糖業者に対して一定の担保価格で融資を行い、市場価格が下落した際にはその糖を引き取ることで価格を下支えする「原糖融資制度」も、2025年7月4日に成立したトランプ政権の「ビッグ・ビューティフル・ビル」に盛り込まれた。この法案により、原糖1ポンドあたりの融資レートは19.75セント(約30円)から24セント(約36円)へと引き上げられた。トランプは、米国への原糖輸出量で最大のブラジルに対して50%の関税を課している(ファンジュール家もブラジルから砂糖を調達している)。

この支援は、彼らにとってまさに必要な後押しだった。過去10年間、世界の砂糖価格は激しく変動しており、フロリダ・クリスタルズやその競合各社は価格の下落や商品市況の悪化によって苦戦してきた。だからこそ、コカ・コーラとの取引拡大はファンジュール家にとって格好の“甘い報酬”となるだろう。

そして、もしトランプが今後も米国内の砂糖価格を高値に保ち、海外の競合を排除し続けるなら、彼らの利益は安泰だ。また、いずれはトランプが政権を去ったとしても、ファンジュール家にはよく知る得意分野が残っている──それは、民主・共和両党の政治家を巧みに取り込むことだ。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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