神戸市が導入した規制では、市域全体を3つのエリアに分割して、1.土砂災害特別警戒区域など禁止区域では太陽光パネルの設置自体を禁止、2.住宅区域や市街化調整区域などでは5ha以上の発電施設の整備に許可制を導入、3.それら以外のエリアでは設置の際に届け出を求めた。なお、住宅の屋根に置かれる10kWに満たない施設は規制の対象外となる。
市の許可を得るには、地盤の安定など災害対策、発電施設の基礎・架台とパネル自体の安全性が求められる。だがそれだけでなく、自然や住民生活に配慮しているのかと、維持管理と廃止後の撤去方法に問題がないのかまで求めているのが特徴だ。
規制は「森の未来都市 神戸」と合致
神戸市が規制に踏み切るきっかけとなったのは、2018年7月の西日本豪雨で発生した土砂崩れだった。4日間で435.5ミリという記録的な豪雨となり、神戸市内の山陽新幹線の線路わきののり面に設置されていた太陽光パネルが線路上に崩落。JR西日本が一時運行を見合わせたのだ。太陽光パネルが持つ防災上の負の面が顕在化したといえよう。
規制から6年目となる今年7月、条例改正でさらに規制を強化した。市街化調整区域での規模要件を撤廃し、規模が小さい10kW未満を除くすべての施設に市の許可を義務付けた。また、老朽化した太陽光パネルの放置に先手を打つかたちで、撤去・リサイクル費用として工事費総額の5パーセントを金融機関に積み立てるようにしていたが、それを最大7パーセントに引き上げた。
この積立金には神戸市が第1順位の質権を設定するので、仮にパネルが放置されても、市が代執行する際にこの積立金が使え、「貸金庫に預金通帳を入れてもらい、鍵を預かっている状態だ」と神戸市の担当者は話している。
規制の効果は明らかだ。神戸市内での10kW以上の太陽光パネルの設置件数は、条例を制定する前には約350件あったが、規制後はわずか14件と激減。長期的な計画性のない事業にはストップがかかったといえよう。
そもそもCO2を吸収するはずの森林を伐採して、再生可能エネルギーの拡大だと言いながらメガソーラー発電所を建設するのは、本末転倒だと指摘する声もある。
150万人が暮らす神戸市は、大都市ではあるが須磨など風光明媚な海岸も持ちながら、六甲山の北には緑豊かな里山も広がっている。この恵まれた自然を将来に引き継ごうと今年、「森の未来都市 神戸」と呼ばれる都市と自然の共生を強化する方針を打ち出した。太陽光発電の規制は、里山へのメガソーラー発電建設の抑制につながるので、結果として新しい街づくりの方向にぴたりと符合する。
この神戸市の手法や効果を学ぼうと、全国各地の自治体からは神戸市役所への問い合わせが相次いでいるという。また同様の規制に踏み切る自治体も出てきた。再生可能エネルギーの代表格として、もてはやされていた大規模な太陽光発電が、いま曲がり角を迎えている。
連載:地方発イノベーションの秘訣
過去記事はこちら>>


