なぜ、世界の経営者たちは「禅」や「道」に夢中になるのか

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日本文化には、世界のリーダー層に新たな示唆をもたらす思想や方法が詰まっている。 書籍『世界の経営幹部はなぜ日本に感化されるのか 伝統文化の叡智に学ぶビジネスの未来』の著者・高津尚志が語る。

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「人生を変える経験になった」スイスのビジネススクールIMDで実施している、日本文化に焦点を当てた体験型セッション。その参加者である企業幹部や起業家たちはそう口々に語る。世界各国のビジネスリーダーたちは、日本文化の何に「感化」されたのだろうか。

体験型セッションでは、禅や生け花、合気道、日本酒などをテーマに、文化の担い手である講師陣が体験的かつ双方向的なセッションを行っている。

例えば、華道家の山崎繭加が指導する生け花。1輪ずつの花とじっくり対話して、最も美しい部分や角度を見極めること、そしてその部分がいちばん生きるように不要な葉や長さを「引き算」することが大事だと示す。その哲学を学んだ後に、参加者は4人1組でひとつの作品を完成させる課題に取りかかる。すると、自分の担当部分だけを目立たせようとする人がいたり、前の人の無秩序な生け方も受け入れてバランスを取ろうとする人などが現れた。

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この経験からの学びは「チームマネジメント」のあり方だ。それぞれの花が美しさを発揮できているか、能力が最大限に生かせているか、チームで取り組むからこそ意外な創造が生まれるなど、示唆に富むセッションと言える。

また、合気道では実際に体を使った演習を行う。チャンバラ用の柔らかい剣を手にした参加者たちは、競争心をあらわにして相手に打ちかかり、力で優位に立とうとしていた。しかし、やがて合気道の神髄は実はそこにはないことに気づかされる。手合わせする相手は、単なる「敵」ではなく、自分の隙や弱点を教えてくれる「パートナー」でもあるからだ。また、相手の攻撃を受け止めたり、流して避けたりする合気道の技には、「自他共栄の精神」が息づいていることも重要だ。

参加者たちは自分と他者が和して共に栄える世の中をつくるために、自分の力を合理的、効率的に活用することの大切さを学んだ。

また、日本文化の中心概念のひとつであるされたのだろうか。「道(みち、どう)」は、技巧を身につけ真に熟練するまでの過程を指す。それは、自分が提供しうるものの頂点や極みを目指し続けるという、人生の姿勢も提示してくれる。

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構成=三ツ井香菜、松﨑美和子

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