米運輸長官のショーン・ダフィーは米国時間10月20日、有人月面探査ミッションの「アルテミス3」の一環としてスペースXに授与されていた契約について、入札を再開する手続きをNASAが開始したことを明らかにした。加えてダフィーは、イーロン・マスクが率いる同社が「スケジュールより大幅に遅れている」と述べた。
アルテミス3は、NASAが米国の宇宙飛行士を月の南極に送り、研究を行うというミッションであり、2027年半ばの開始が見込まれている。この計画が実現すれば、1970年代ぶりに人類が月面に降り立つことになる。
イーロン・マスク率いるスペースXは2021年にアルテミス3における着陸装置の提供契約を獲得していた。
NASAの長官代行も務めるダフィーは、NASAは特定の企業を待つつもりはないと述べ、スペースXとの契約をジェフ・ベゾスのブルー・オリジンのような他社との競争に「開放」する手続きを進めていると語った。
またダフィーは、ドナルド・トランプ大統領が中国よりも先に月面到達を果たしたいと考えているため、NASAは大統領の任期中にこのミッションを完了させるつもりだとも述べた。
スペースXとイーロン・マスクは、フォーブスのコメント要請にすぐには応じなかった。
スペースXは、アルテミス3においてNASAと契約を結んでいる複数の企業の1つであるが、同ミッションのスケジュールは延期を重ねている。NASAは2024年12月にアルテミス計画の日程を延期し、月を周回するアルテミス2ミッションを2026年4月、実際に月面に着陸するアルテミス3を2027年に先送りした。
10月初め、スペースXは一連の試験飛行で発生した複数の問題を経て、スターシップの試験ロケットの打ち上げを成功させた。
マスクは今年初め、トランプ政権下で政府効率化省(DOGE)のトップとして特別政府職員を務め、大規模な政府職員の削減を行い、在任中には各国首脳との高官会合にも出席していた。マスクが率いるテスラ、スペースX、ボーリング・カンパニーの3社は、過去10年間で複数の政府機関をまたいで数十億ドル規模の政府契約を獲得していると報じられている。
その後、マスクとトランプとの関係が悪化したことで、トランプはマスクがこれまでに獲得した複数の契約を打ち切ると警告し、それに対してマスクは自身の政党を立ち上げると発言した。
CNBCは、政府閉鎖が契約再交渉の計画を停滞させる可能性があると報じた。ただし、アルテミス計画に携わるNASAの職員(契約社員を含む)は、閉鎖期間中も引き続き業務を継続する見通しである。



