免疫は「デザインする」時代へ
坂口志文氏の制御性T細胞の研究は、「免疫を制御する力」こそが生命を支えるという、新しい視点を医学に与えた。
だが、その発見が正当に評価されるまでには、長い時間がかかった。
坂口氏の研究は、周囲に理解されず、不遇の時期もあったという。それでも彼は、免疫の中にある“秩序の論理”を信じて、40年以上研究を続けた末に今回の受賞となった。そして、いま、その探究が世界の医療を変えようとしている。
免疫は、暴走と抑制のあいだで揺れる動的な秩序である。そのバランスをどう設計するか━━それが次世代の医療のテーマだ。
坂口氏が見据えるのは免疫を「デザイン」する未来である。生命がもつ免疫寛容の仕組みを理解し、病を超えて“生きる力”そのものを調律する時代が、すでに始まっている。
芹澤健介(せりざわ・けんすけ)◎横浜国立大学経済学部卒。ライター、編集者、構成作家。NHK国際放送の番組制作にも携わる。日本在住の外国人の問題から、がんの最新治療法まで取材範囲は広い。著書には小林久隆博士に取材した『がんの消滅:天才医師が挑む光免疫療法』(新潮新書)の他、外国人留学生の実態に迫ったルポ『コンビニ外国人』(同)などがある。日本文藝家協会、多文化社会研究会所属。


