ストックホルム発のスタートアップ 「エピマインズ(Epiminds)」 は、ライトスピード・ベンチャー・パートナーズが主導するシードラウンドで 660万ドル(約10億円) を調達した。今回のラウンドには、EWOR(欧州)やエントゥラージュ(オーストラリア)といった起業家支援組織、ブッキング・ドットコムの元最高マーケティング責任者を含む複数のエンジェル投資家が参加している。同社は今年初め、グーグル出身のエリアス・マルムと、Spotify(スポティファイ)やKryで機械学習チームを率いたエンジニア、モー・エルキディールによって設立された。実用段階のプロダクトを開発し、ステルスモードを脱した現在は、北欧と米国の主要広告代理店から収益を上げている。
マルムとエルキディールによれば、エピマインズのプラットフォームはマルチエージェントAIを駆使し、パフォーマンスデータの分析やレポート作成から、グーグル、メタ、Tiktokなど主要アドネットワークにまたがるキャンペーンの最適化までを一貫して実行する。これにより、広告代理店が日々行う業務の多くを自動化できるという。彼らはこれを「マーケターのためのAIチーム」と呼ぶ。ユーザーが直接対話するフロントエンドは、「ルーシー」と名付けられたAIマーケティングマネージャーだ。ルーシーは、実際のキャンペーンデータや代理店の運用ノウハウ、業界のベンチマークを基に訓練された20以上の専門エージェントを統括する。
ユーザーはわずか1分でオンボーディングを完了し、即座にルーシーの仮想スタッフであるデータアナリスト、クリエイティブ最適化担当、メディアバイヤーを利用できる。各エージェントは代理店のクライアントアカウントに直接接続し、コンバージョン、インプレッション、予算、オーディエンス動向などのリアルタイムのパフォーマンス指標を取得・処理する。これらのエージェントはデータを分析し、入札額の調整から成果の上がらないキーワードの停止まで、クライアントの広告プラットフォーム内で承認済みの変更を自動で実行する。
マルムによれば、このシステムは、代理店業務の大半を占める手動での報告作成やクロスプラットフォーム管理の負担を大幅に削減するという。平均的な広告運用担当者は、数十のキャンペーンにまたがる数千ものデータポイントを処理しているが、同社のマルチエージェントフレームワークは毎日6000万以上のマーケティング関連データポイントを処理することが可能だ。「人間は、データに基づく意思決定においてバイアスを示す。エピマインズは作業負担を取り除き、スプレッドシートの作成ではなく、創造的な戦略立案に集中することを可能にする」とマルムは語った。
エピマインズは、OpenAIやアンソロピック、グーグルなどの商用大規模言語モデル(LLM)を基盤に、マーケティングに特化した独自レイヤーを追加している。同社の長期的な目標は、独自のマーケティング専用LLMの開発だ。ユーザーは自社のベストプラクティスやテンプレート、チェックリストをシステムに組み込むことで、エージェントを社内スタッフのように訓練し、汎用ツールではなく実務に沿った形で業務を遂行させられる。



