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2025.10.17 12:00

Spotifyやネトフリで改めて注目、「共同CEO」という経営体制が力を発揮する理由

ダニエル・エク(写真中央右)は、SpotifyのCEOを退任し、執行会長に就任する。後任には、現在共同社長を務めるアレックス・ノールストロム(同右)とグスタフ・セーデルストロム(同左)の2人が共同CEOとして昇格する。

ダニエル・エク(写真中央右)は、SpotifyのCEOを退任し、執行会長に就任する。後任には、現在共同社長を務めるアレックス・ノールストロム(同右)とグスタフ・セーデルストロム(同左)の2人が共同CEOとして昇格する。

音楽配信サービスSpotify(スポティファイ)のダニエル・エクが最高経営責任者(CEO)の職を退くことが公になったとき、注目を集めたのは彼の職務が2人の共同CEOに引き継がれる点だった。このような「CEO職のシェア」を珍しく思う人がいるかもしれないが、実際にはそう異例なことではない。フォーブスでも、共同CEOについて触れることがある。

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NetflixやOracleも採用、改めて見直される共同CEO体制

動画配信大手Netflix(ネットフリックス)は現在、テッド・サランドスとグレッグ・ピーターズの2人が共同CEOを務めている。ソフトウェア企業のOracle(オラクル)も、クレイ・マグイアークとマイク・シシリアが経営トップを務めている。さらにグローバル金融サービスのフィンテック企業BGC Group(BGCグループ)に至っては、ショーン・ウィンディート、ジョン・アビュラレッジ、JP・オービンの3人が共同CEOを務めている。このような事例は他にも数多く存在する。

では、その背景には何があるのか。理由の1つは、これら企業の多くが、強烈な個性を持つカリスマ経営者によって率いられていたことにある。たとえばNetflixのリード・ヘイスティングス、Oracleのラリー・エリソン、BGCのハワード・ルトニックといったビリオネアだ。こうした人物の「後任を務める」のは、1人の経営者にとってあまりにも荷が重いという事情もあるだろう。世界がますます複雑化する中で、1人で責任を分担するのではなく、複数の視点を持つこと自体に価値を見いだす向きもある。

専門性を補い合う、Spotifyの後任CEOに見る成功の秘訣

BGCのウィンディートへの最近のインタビューによると、3人の共同CEOはいずれも異なる国の出身だという。それぞれ異なる経営スタイルを持ち寄ることで、組織に多様な強みをもたらしていると語っていた。一方、Spotifyの後任CEOとなるグスタフ・セーデルストロムとアレックス・ノールストロムは、両者ともスウェーデン出身で、互いの専門分野が補完的と見られている。セーデルストロムは技術分野を得意とし、ノールストロムはマーケティングや消費者、音楽業界関係者、アーティストとの関係構築に強みを持つ。音楽業界誌Music Business Worldwideのインタビューにおいて、ノールストロムは、2人がここ3年近く共同社長としてエクの下で働いてきたことで、強固な信頼関係を築いたと語っている。

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「互いの専門分野は異なるが、重要なのはすべての課題を一緒に議論し、互いの領域を理解していることだ。相手の専門性に対する尊敬の念がある」とノールストロムは述べている。

次ページ > 「入れ替え可能」なほど役割を共有、信頼に基づいた組織運営

翻訳=上田裕資

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