AI(人工知能)関連銘柄や米巨大テック7社「マグニフィセント7」銘柄はバブルなのだろうか。このところ、暴落が間近に迫っているのではと臆測する見出しをよく目にするようになった。筆者は同じ意見ではないけれど、慎重なリスク管理という観点から、投資家は金(ゴールド)や銀(シルバー)といったリスクオフ(回避)資産への分散投資を検討する必要があるとは思っている。
たしかに、AI関連株と同様に貴金属も買われすぎのように見える。しかしAI株と違って、貴金属は構造的に投資が不十分になっている分野だ。だからこそ、いまいちど注目する価値があると考える。
伸びきったバリュエーション
わざわざ言うまでもないことだが、AIは公開市場とベンチャーキャピタル投資の両方を支配している。調査会社のピッチブックによると、年初来、世界全体のベンチャー投資の55%強がAI分野に流れ込んでおり、米オープンAI、アンソロピック、xAI(エックスエーアイ)といった巨人が大きな分け前を得ている。
公開市場では、エヌビディアやマイクロソフトなどのマグニフィセント7が、ナスダック総合株価指数やS&P500種株価指数を繰り返し史上最高値に押し上げている。一方、全銘柄が同じ比率で構成されるイコール・ウェイト指数は、それらを大きく下回っている。
バリュエーション(投資尺度)は伸びている。S&P500の足元の予想株価収益率(PER)はおよそ23倍と割高な水準だ。
ヘッジファンド運用者で富豪のレオン・クーパーマンはこのほど米CNBCの番組で、現在は強気相場の終盤にあるとの見方を示し、これはかつて著名投資家のウォーレン・バフェットが注意を促していた段階だと言及した。つまり、ファンダメンタルズ(基礎的条件)から乖離し、市場が根拠なき熱狂に支配されているような状態にあるということだ。米国株の「バフェット指数」(時価総額を名目国内総生産=GDP=で割った値)は9月末時点で200%を超えた。言い換えると、米国の株式市場の価値は実体経済の規模の2倍超に膨らんでいるということだ。



