資産運用

2025.10.16 10:00

AI楽観論は金の「リアリズム」でバランスを いまこそ必要な賢い分散投資

Shutterstock

分散ポートフォリオで金が果たす役割

ここで触れておかなくてはいけないのは、金と銀が現在、標準偏差で見ても14日間のRSI(相対力指数)で見ても「買われすぎ」のシグナルを発していることだ。過去のパターンでは、こうした動きのあとにはプルバックが続くことが多い。したがって、この先さらに上昇する前に一度調整が入っても不思議ではない。

advertisement

とはいえ、たとえ貴金属が調整局面に入っても、その損失はAI関連銘柄が崩れた場合に比べれば小さいだろうし、期間も短いだろう。業界団体のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が行った仮想シナリオに基づくストレステストでは、分散投資ポートフォリオに金を組み込んでいれば、株価暴落や信用逼迫といった各シナリオで損失を50〜90ベーシスポイント(0.5〜0.9%幅)抑えられるという結果も出ている。

過少投資されている資産に眠るチャンス

筆者は「過少投資」というテーマに多くの可能性を感じている。

わたしたちは現在、資本が異常なほど一部に集中する時代を生きている。兆ドル単位の資金が、AIプラットフォームや一握りの超大型株に流れ込んでいる。他方、金や銀は記録的な上昇を続けているものの、投資ポートフォリオでは概してあと回しにされている。

advertisement

いま、投資先として安全性が高いのはどちらだと読者は考えるだろうか。

とくに年配の投資家は思い起こしてほしい。多くの方はドットコム・バブルの崩壊を覚えているはずだ。現在、時価総額で世界5位の企業である米アマゾンの株価ですら、1999年12月の高値から2001年10月の底値までに90%超も下落した。一方、金の価格は同じ期間におよそ5%上昇していた。これは特筆すべきほどの上げ幅ではないものの、それでも資産全体の損失を抑えるのに寄与したのは間違いない。

筆者は何もマグニフィセント7株の売りを勧めているわけではない。ただ、何千年も前から帝国や家庭の富の保存に役立ってきた、実績のある確実な資産を無視すべきではないということだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事