網羅的に要約するだけではなく、録音内容全体を見渡した上で“話題の流れを推論”してレポートするのである。
そして、これらの機能・精度の向上は「Ask AI」という機能で、さらに輝いてくる。
録音内容についての会話が可能に
Plaudアプリの2.0でも、ベータ版で「Ask AI」という機能があったが、ベータ版であることに変わりはないものの「Ask Plaud」と名前が変化した上でパワーアップしている。
この機能は録音内容について、質問をするとAIが答えてくれるというものだが、前述に話者を特定する機能と組み合わせると次のように使える。
「代表理事の黒田さんはスマホ新法について、どのような意見を持っていると話しているのか」
このように尋ねると、録音の中から「Speaker 1」の発言を抜き出し、その意見をまとめてくれ、さらに回答を保存したい場合は新しいノートとして、その録音データに追加保存してくれる(ベータ版時代は会話が消えていた)。
そしてPlaudアプリ3.0では過去に記録している複数の録音を分析し、その中から回答を行わせることも可能になっている。
「すべてのアップルに関する録音を精査し、iOSの機能がどのように変化してきたか、これまでのトレンドを踏まえた推論も含めて的確な情報としてまとめてください」
このように質問すると、昨年から今年にかけてアップルの取材をしたときの録音内容をすべて参照した上で答えてくれる。長期間にわたるプロジェクトについて、フォルダで分割するなどまとめておくと、こうした質問から過去の経緯を振り返りつつ、必要な情報を取り出すことが容易になるはずだ。
“聞き”“解釈する”ことに集中できる
長期間使ってきて感じているのは、この製品が極めて信頼性の高いものと言うことだ。後述するようにデータの扱いに関しても、透明性が持たされている。
これまで、筆者のようなジャーナリストは「聞く」と「記録する」を同時に行う必要があった。聞きながら記録し、記録をしながら、次に向けての思考を行う。しかし、メモに手間取ると会話の流れを見失うことがあり、会話に集中すれば重要な発言を取りこぼす。
同様のジレンマは、ビジネスの現場でも同じだろう。振り返った時に、的確のその記録を掘り起こせることがわかっているならば、しっかりと聞いて解釈することに集中できるため、そこからの質問、あるいは会議であれば新たなアイデアへとつなげる余裕が生まれる。


