また異なる視点での要約を複数生成し、保存をしたり、異なる録音の中からキーワードで検索して横断的なまとめを作ってもらったり、あるいは話者を特定した上で“この人は製品を紹介する技術者”といった属性を推測する能力も加わっている。
このコラムでは、“ハードウェアとして何が変わったのか”、“アプリとサービスはどう進化したのか”の順に話を進めつつ、“この製品はどう仕事のスタイルを変えるのか”を織り交ぜていくことにしよう。
ハードウェアにもAI投入で録音品質が向上
ハードウェア面での一番の進化は、ハードウェアにAI機能を内包したことだ。従来も機械学習処理での背景ノイズを抑制する機能を有していたが、2基だったマイクが4基に増加。製品を囲んで複数の話者がいる方向を特定し、背景ノイズと分離することができる。
従来なら明瞭に声を拾える有効範囲がおよそ3mだったのに対し、本機は5mまで拡大。競合にはPlaud Noteとよく似た製品としてNotta MemoやTicNoteが存在するが、それぞれ最大3mと2mだ。
単なるハードウェア強化だけではなく、信号処理、具体的にはAIによってリアルタイムに空間を認識し、自動的に指向性(音声を取り込む方向)を動的に調整することで、音声のみの分離精度が高まり、結果的に遠くの声も明瞭に捉えられる。
この進化、つまり空間を認識して“誰がどの方向で話しているか”を識別できるようになることで、録音の文字起こしそのものの精度が大幅に上がる。
複数話者が同時に発言する状況や、話者が移動する環境下でも音声を識別・分離できるようになり、“誰が話したか”を区別する精度が明らかに上がったのだ。
メーカーはPlaud Note比で音質10%向上、文字起こし精度15%向上という数値を挙げているが、実感としてこの数字は体感に近い。
2.4cmのAMOLEDディスプレイ採用で、製品のステータスが識別しやすくなったのも朗報だろう。録音状態、バッテリー残量、転送進捗などを直接確認できる。
デュアルバンドWi-Fi(2.4GHz + 5GHz)による最大2.2MB/sの転送速度は、従来の1.2MB/sから転送速度の83%の向上を実現し、Bluetooth 5.4(BLE 5.4)の採用は低消費電力化に寄与するという。
バッテリー容量も増加したことで、連続録音時間は30時間から50時間へ66%向上している。スタンバイ時間75日間という仕様も、「常時携帯デバイス」として十分な数字で、アップルの「探す」機能に対応したこともあって、紛失時の発見も容易になった。


