では、この手法のテストケースとして「10月理論」を使ってみよう。柔軟性に欠ける2026年の計画を立てる代わりに、10〜12月のための12の週間目標を立てるのだ。これらの目標は、ハーフマラソンを走る、貯蓄する、恋愛関係を改善するなど、あなたが来年達成したいと思うことにつながるものでなければならないが、実行可能な小さなものにする。
例えば、2026年の目標が「もっと定期的に運動する」なら、10〜12月の12週間の計画を「週3回運動する」に設定する。そうすれば、1月1日までに36回運動することになり、これはテストされていない壮大な目標よりはるかに強力な基盤だ。長期的な目標が金銭をしっかり管理することなら、12週間すべての支出を記録するようにする。大晦日を迎える頃には、そのやり方が自分に合っているのか、それとも調整が必要なのかがわかるだろう。
12週間方式によって得られる2つの大きな利点がある。
・目標を毎週の現実に置き換えることで、勢いを失うことなく確認・反省・方針転換することになる
・目標だけでなく、手法自体も試すことができる。12月までには、12週間方式が制約を課さないものなのか、それとも融通がきかないのかがわかり、翌年どのように取り組むべきかがより明確になる
つまり、一石二鳥なのだ。来る年に備えるだけでなく、実績のある手法を試すことで、10月理論の取り組みが成功する可能性が高くなる。
心の持ち方のヒント
10月理論を進めるにあたって、最後にもう1つ覚えておくべき真実がある。それは、こうありたいという理想化された未来の自分のためではなく、今ある自分のために計画を立てるということだ。
私たちはジム通いをサボらず、テイクアウトを注文せず、いつも朝5時に起きるような、完璧で疲れ知らずの自分のために計画を立てることが多い。だが、実際にはそうした幻想は完璧主義の重圧で崩壊する。
心理学的には、持続可能な変化とは理論上の「最高の自分」のための人生を築くことではなく、滅茶苦茶で注意散漫、時には疲れ果てた実際の自分の周りに足場を築くことだ。10月理論はその現実を振り返る時間を与えてくれるが、それはあなたがそうすることを受け入れた場合に限る。
こうしたことから、この10月に新年の誓いを考えるときは疲労を念頭に置きつつ、短く柔軟なサイクルで計画を立てるようにすることだ。あなたの2026年の変化は、無限の意志力や融通のきかない12カ月の決意の幻想から生まれるのではない。自分の心に逆らうのではなく、心に沿って取り組むことから生まれるのだ。


