経営・戦略

2025.10.09 15:00

ソフトバンクが約8200億円でスイスABBのロボ事業を買収、AI戦略をさらに強化

Tomohiro Ohsumi/Getty Images

Tomohiro Ohsumi/Getty Images

日本で最も裕福な人物の1人である孫正義が率いるソフトバンクグループは、スイスの産業大手ABBのロボティクス事業を54億ドル(約8208億円。1ドル=152円換算)で買収することで合意した。これにより、同社の人工知能(AI)分野への取り組みはさらに一段と深まることになる。

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「ソフトバンクの次なるフロンティアは『フィジカルAI』だ」と、ソフトバンク会長兼CEOの孫正義は声明で述べた。「ABBのロボティクス事業とともに、われわれはAIとロボティクスを融合させるという共通のビジョンのもと、世界最高水準の技術と人材を結集する。これにより、人類を前進させる画期的な進化を推し進める」。

この買収は2026年の中盤から後半に完了する見込みであり、これはソフトバンクが今年初めに設立した新会社、「ロボホールディングス(Robo HD)」に続く動きとなる。ロボホールディングスはロボティクス関連資産をまとめた持株会社で、アジャイル・ロボッツSEやスキルドAIを含む10社以上の出資先企業が同社に移管された。アナリストらは、これは孫のロボティクス分野への関心が再び高まっている兆候だと指摘している。

孫のロボティクスへの関心は以前からあり、それが2014年に披露されたヒト型ロボットのPepperの開発につながったが、需要の低迷によりその後生産は停止された。ソフトバンクはまた、産業オートメーションや物流の進化を目的とする技術にも投資している。

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「ソフトバンクはこの事業および従業員にとって最良の新しい拠点となるだろう」と、ABBのモーテン・ウィーロドCEOは声明で述べた。「ABBとソフトバンクは、世界がAIベースのロボティクスという新時代に突入しているという見方を共有しており、ABBのロボティクス事業とソフトバンクの両方が協力することで、この時代を最良の形で切り開けると確信している」。

ABBのロボティクス事業は、中国、米国、スウェーデンの製造拠点において計7000人を雇用している。2024年の売上高は23億ドル(約3496億円)で、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は3億1300万ドル(約476億円)だった。これは、2023年における売上高の25億ドル(約3800億円)、3億8500万ドル(約585億円)のEBITDAと比べて減少している。

フォーブスのリアルタイムデータによれば、68歳の孫正義の純資産は674億ドル(約10.2兆円)に達している。孫はAI分野に数十億ドル(数千億円)規模の投資を続けており、その中には米国でOpenAI、オラクル、MGXと提携して進める総額5000億ドル(約76兆円)規模のAIインフラプロジェクト、スターゲイトへの出資も含まれている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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