ヒロノ・ドールは「次のラブブ」か? ポップマートの最新ヒットで知っておくべきこと

Hirono Living Wild Doll(ヒロノ・リビング・ワイルド・ドール) Magnus13x / Shutterstock.com

Hirono Living Wild Doll(ヒロノ・リビング・ワイルド・ドール) Magnus13x / Shutterstock.com

アマゾン、ターゲット(Target)、ウォルマートといった小売各社が正規品を手頃な価格で販売し始めたことで、ここ数カ月入手困難だったラブブ(Labubu)人形の流通がにわかに増えている。購買熱が落ち着きつつある兆しだが、別のポップマート(Pop Mart)製ドールが主役の座をうかがっている。

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ウォルマートはこの数カ月、オンラインリセール企業ストックエックス(StockX)と提携してラブブを複数回販売しており、最新の再入荷分は同社サイト上で1体あたり39ドル(約5900円。1ドル=152円換算)から購入可能だ。

ターゲットではポップマートと日本の漫画『ONE PIECE』のコラボによるラブブをオンラインで39ドル(約5900円)で販売している。アマゾンではプライムデーのセールとして20ドル(約3000円)からの価格で販売されており、「Wacky Mart(ワッキーマート)」「Lazy Yoga(レイジー・ヨガ)」といったラブブのシリーズの一部も対象となっている。

特別版ラブブで1万ドル(約152万円)超を得た出品者もいるイーベイ(eBay)では、現在は2000ドル(約30万円)超での出品はごくわずかで、上位60件の高額出品にはいずれも入札が付いていない。

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今年前半の熱狂のピーク時には、ポップマートの公式サイトでは再入荷のたびに数秒で完売し、転売業者は1体あたり数百〜数千ドル(数万〜数十万円)を得ていた。

高値と品薄が偽物ラブブの増加を招き、在庫のある店舗では購入を巡って客同士が口論や乱闘を起こす事態も発生した。

次に来るものは?

では次の一手は。BTS(ビー・ティー・エス)のV(キム・テヒョン、愛称「テテ」)が仁川空港で所持している姿が目撃されたことを受け、ポップマートの別のぬいぐるみ「Hirono Living Wild Doll」(ヒロノ・リビング・ワイルド・ドール)の人気が今週急騰した。数時間のうちに中国のポップマート公式サイトで同一ドールが完売し、報道では500体以上が売れたとされる。同ドールは現在イーベイで最大175ドル(約2万7000円)で転売されており、これは元値の3倍超だ。

背景

ラブブはアーティストのカシン・ローン(龍家昇)が10年前にデザインし、2015年に絵本『The Monsters Trilogy』(ザ・モンスターズ・トリロジー)で初登場した。ランは2019年にデザインのライセンスをポップマートに供与し、同社がコレクション・トイとして商品化した。ブラックピンクのリサ、リアーナ、デュア・リパといったセレブの支持や、ティックトック(TikTok)の「開封」動画での拡散を背景に、ラブブはこの1年で爆発的な人気となった。CNBCによれば、ファンはポップマートの店舗や自販機に長時間並び、入手のために海外まで足を運ぶ例もあった。今年初めには購入を巡る争いが報告されたことから、ポップマートは英国の全店舗で当該ドールの販売を停止した。8月には、ベター・ビジネス・ビューロー(Better Business Bureau)がオンライン購入を巡って詐欺被害の報告が相次いだとして警告を出し、数百ドル(数万円)を失ったケースも確認された。

8月末時点のポップマート株の取引価格は43ドル(約6500円)で、過去1年の最高値である。米国時間10月8日時点では32.80ドル(約5000円)で取引されており、ピークから24%下落している。

玩具メーカーのポップマート・インターナショナル・グループ(Pop Mart International Group)の創業者である38歳のワン・ニン(王寧)の推定純資産は205億ドル(約3.1兆円)だ。9月にはラブブ需要の冷え込みの兆しが見え始め、王の純資産は1カ月も経たないうちに約60億ドル(約9120億円)も減少した。彼は6月、初めて中国の富豪トップ10入りを果たした。ポップマートは2020年に香港で上場している。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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