国内

2025.10.10 11:15

広島初のプライドバレード。ひろぎんHDサステナ統括部長が旗振り役に

ひろぎんホールディングス・サステナビリティ統括部長の木下麻子(筆者撮影)

ひろぎんホールディングス・サステナビリティ統括部長の木下麻子(筆者撮影)

10月11日、広島県内で初めての「プライドパレード」が開催される。

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セクシュアルマイノリティーの存在を可視化することを目的に開かれるこのイベントに、地元企業からの協賛が集まっている。メインスポンサーとなったのは、人口の転出超過問題について企業横断で考えるプロジェクト「HATAful(はたフル)」。まさしくその「旗振り役」を担うのは、ひろぎんホールディングス・サステナビリティ統括部長の木下麻子さんだ。 
 
2016年に東京から広島に移住し、中国地方最大の地方銀行に転職した彼女が目の当たりにしたのは、ローカル都市が「立ち遅れている」現実だった。ジェンダーの多様性を巡る、地方の現在地とは? そして、その未来に希望はあるのか。プライドパレードの開催を目前に、木下さんに話を聞いた。


移住後、目の当たりにした「最悪の状況」

「まず驚いたのは、女性社員が制服を着用していたこと。正直、「これはまずいな」と感じましたね。LGBTQ+のことは当初から取り組みたいと思っていたのですが、『その前にもっとやることがあるんです』というのが社内の雰囲気でした」 
 
2016年、広島銀行(当時。現在は持株会社化してひろぎんHDの傘下に)に転職した当時のことを、木下さんはそう振り返る。 

前職のリクルートでは、人事担当としてジェンダー平等やLGBTQ+に関する取り組みを進めてきた。広島にいる夫の家族が体調を崩したことを機に移住することになったが、広銀でも人事を務めることに。当初からセクシュアルマイノリティーに関する啓発活動や職場環境の改善などを進めたいと考え、そう主張したがなかなか理解が得られなかった。

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当時の広銀は、女性の管理職・監督職数の割合が8.2%(※1)で、政府が掲げていた「指導的立場の女性を30%に」という目標にはほど遠い状況だった。 女性たちは本部勤務であっても役職者以外は制服で、主要な会議にも女性の姿はなかった。木下さんは、まずは「女性活躍」を進めることに着手した。 
 
とはいえ、状況は変わりつつあった。2021年1月には広島市で「パートナーシップ宣誓制度」の運用が始まり、まもなく広銀でもLGBTQ+に対応した住宅ローンの取り扱いが始まった。 

「追い風が来た」と感じられたのは2023年のこと。同性カップルらが訴えた「『結婚の自由をすべての人に』訴訟」において、同性婚を認めない民法などの規定は「違憲」との判断が、名古屋地裁と福岡地裁で下された。

ちょうどその頃、セクシュアルマイノリティーの当事者団体から声がかかり、ビジネスパーソン向けの社外研修会を企画。対面では20人ほどが参加した小さな集いだったが、場の雰囲気はあたたかく、反応もよかった。追い風を感じる中で岡山のプライドパレードに参加し、そこで転機となる出会いが訪れる。 

プライドバレードに参加する木下麻子さん(本人提供、画像の一部を加工しています)
プライドバレードに参加する木下麻子さん(本人提供、画像の一部を加工しています)

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文=小山美砂

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