セクシュアルマイノリティーに「選ばれる企業」へ
HATAfulとして協賛を決めたことは、双方向のコミュニケーションも生んでいる。
ただ協賛金を渡すだけでなく、プライドパレードの実行委員を招いて賛同企業向けの研修を実施したほか、HATAfulPrideプロジェクトを立ち上げ、6社合同(ひろぎんHD、中国電力、マツダ、NTT西日本、ツネイシHD、広島県)でひろぎんHDは社内向けの研修動画の作成や勉強会実施の計画、アライの可視化に取り組んだ。
パレードの開催とそれに対する協賛が、セクシュアルマイノリティーについて企業内で考えるきっかけとなっている。
木下さんは、社内の意識も変わりつつあると実感する。最初に衝撃を受けた女性社員の制服着用については、窓口業務に従事する人を除いては個人の選択制にするよう変革してきた。しかしこれも、2025年度内には全面的に廃止する方針だ。
「これは女性だけの問題ではないと思います。例えばトランスジェンダーやノンバイナリーの人から見れば、制服があるために弊社は『選ばれない』企業だっただろうと思うんです。そもそも就職先に考えてもらえていなかった可能性があり、取りこぼしてきた声があるはず。ですから、これはまだまだ最初の一歩ですね」
首都圏とは違った課題を抱えるローカル都市。その「近さ」や「狭さ」が障壁に感じられることもあるが、それは大きな変化をうみだす起爆剤にもなりえる。木下さんは、こう期待する。
「広島だけでなく、あらゆる地方都市に通じる話だと思います。多様性を求める人は、やはり東京や大阪に行く傾向にありますが、彼らに選ばれる街になるためには私たちも変わらなきゃいけない。自社の制度を整えること、社会的機運を高めること、企業にできることはたくさんあります。選ばれる会社になることが、広島の街をよくしていくことにもつながるはず。みんなで取り組めたらいいな、と思っています」
【参考文献】 ※1
女性活躍事例 「子育てとの両立支援はもちろん、キャリアアップへのサポートもしっかり」 株式会社広島銀行」、「情報発信ポータルサイト 人的資本経営ひろしま。


