国内

2025.10.10 11:15

広島初のプライドバレード。ひろぎんHDサステナ統括部長が旗振り役に

ひろぎんホールディングス・サステナビリティ統括部長の木下麻子(筆者撮影)

転出超過は「地元企業の責任」 

「岡山のパレードには仕事としてではなく、個人として参加しました。イベント自体とても楽しかったのですが、そこで『来年は広島でやる』と聞いて。めちゃくちゃ応援したい!と思っていたところ実行委員とつながることができ、やりとりが始まりました」

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ちょうど、企業横断プロジェクトの「HATAful」が始動した直後だった。 HATAfulは、ひろぎんHD、中国電力、マツダという地元の三大有力企業に加えて広島県が集い、県の転出超過対策を考えるべく2024年5月に活動を開始した。木下さんがひろぎんHDのサステナビリティ統括本部長に就任してからまもなく各社に呼びかけ、スタートさせたプロジェクトの1つだったが、彼女にはこんな思いがあった。 

「例えば女性の登用を進めるために『子育てを1人で抱えないで』とか、『男性にも育休を』と呼び掛けても、 パートナーが働く会社の理解がなければ実現しません。自社だけでは限界があると感じたんです。横とつながって、地域全体を変えていく必要があると思いました」

それに加えて、県内ニュースをにぎわせるようになっていた「転出超過」の問題。広島では2021年以降、県内からの転出が転入を上回る状況が続いており、都道府県別で4年連続の「ワースト1位」と報道された。

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「これは私たちの問題なんじゃないか、と。地元の大手企業にはUターンの就職者が多いのですが、その割合が減っていたんです。さらに自社の20代の離職者について分析をしてみると、県内で転職している人は半分にも届かなかった。つまり、採用と退職の問題が、転出超過とイコールでつながっていると思ったんです。この問題提起に共感してくれた企業が集って、HATAfulが発足しました」

現在はさらに4社が加わり、年度内にも正式に組織化する見込みだ。賛同企業による合同ワーケーションや、各社のプロジェクトや業務を相互に公開し学び合う取り組みを重ねてきた。 
 
このHATAfulの枠組みで、プライドパレードも支援することに決定した。LGBTQ+について考えることも、転出超過の問題と無関係とはいえないからだ。職場環境や社内制度を整えるなど、企業側が取り組むべきことは無数にある。 
 
パレードでは約300人が広島市中心部を1.5km練り歩く予定で、メインスポンサーとなったHATAfulはスタッフTシャツやパンフレットにも名前が印字される。地元企業からの「応援の気持ち」が、まさに可視化して届けられるのだ。 

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文=小山美砂

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