欧州

2025.10.06 08:00

ウクライナ、ロシアの列車に対するドローン攻撃も強化 補給と経済活動を妨害

ウクライナ南部ザポリージャ州のロシア占領地域で2025年8月19日、ロシアの燃料列車がウクライナのドローン(無人機)攻撃を受けて炎上する様子とされる画像。Xで共有された動画から

ウクライナ南部ザポリージャ州のロシア占領地域で2025年8月19日、ロシアの燃料列車がウクライナのドローン(無人機)攻撃を受けて炎上する様子とされる画像。Xで共有された動画から

ウクライナが今年の初夏以降、激化させているロシア領内やロシア支配地域深くへのドローン(無人機)攻撃では、製油所や工場、軍事補給所に対する攻撃に注目が集まりがちだが、ウクライナは鉄道、とりわけ油や軍事装備を運ぶ列車への攻撃も強化している。こうした攻撃が重要なのは、列車がドローン攻撃に脆弱であることに加え、鉄道はロシアの兵站と経済の大動脈だからである。列車や鉄道インフラに対する攻撃ペースもここ数カ月で加速しており、ロシアの軍事と経済の両面に直接の影響を及ぼしている。

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列車や鉄道インフラに対するドローン攻撃

ロシアもウクライナもこの戦争を通じて列車、なかんずく軍事補給に使用される列車を攻撃目標にしてきた。ウクライナは今年、航続距離を伸ばした高性能な攻撃ドローンを開発し、ロシア領内やロシアの占領下にある地域をより深く攻撃できるようになった。夏の間、ウクライナは戦略的なドローン攻撃作戦の一環で、これらのドローンを用いてロシアの列車に対する攻撃を拡大した。

それらの攻撃のすべてが記録されているわけではないが、ウクライナ側情報源はいくつかの攻撃の映像を公開している。たとえば7月、ウクライナのドローンはロシア南部ロストフ州で燃料や潤滑油、軍需物資を積載した列車を破壊し、当局は鉄道運行の一時停止を余儀なくされた。8月には攻撃の頻度が増し、ウクライナ南部ザポリージャ州のロシア支配地域のトクマク近郊で燃料列車を脱線させ、占領下クリミア半島への主要補給ルートを寸断したほか、クリミアのジャンコイ付近でも燃料列車を攻撃した。

ウクライナはザポリージャ州で行った複数の攻撃の映像を公開しており、列車数両が破壊されたり使用不能に陥ったりしている。

列車に対する攻撃と並行して、ウクライナは鉄道インフラも攻撃している。8月初めには、ロシア南部ボルゴグラード州の鉄道駅舎をドローンで攻撃して火災を引き起こし、ロシアの兵站網の重要な結節点を通る輸送を妨害した。数日後には同州の別の鉄道駅(スロビキノ駅)を攻撃し、軍需物資の輸送をさらに遅滞させている。ウクライナは鉄道拠点を狙ったこうした攻撃によって、ロシアの鉄道貨物輸送能力をさらに低下させ、軍事作戦と経済全体を直接損なっている。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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