SpaceX創業者のイーロン・マスクは、火星に向けて打ち上げられる最初の巨大なStarship(スターシップ)に、Optimus(オプティマス)ロボットの一団を搭乗させると公言している。しかし、その惑星間の旅は短命に終わる可能性が高いと、ある著名なロボット工学者が述べている。
来年の11月か12月、テスラのロボット「Optimus」を火星へ送り込む構想
世界で最も裕福な「テクノ貴族」のマスクは、X上で2億人のフォロワーに対し、テスラが構想したこのロボットを早ければ2026年にも送り込む可能性があると語った。「来年の11月か12月に、Optimusが乗員となるスターシップの火星飛行が実現するわずかな可能性がありますが、そのためには多くのことがうまくいく必要があります」。
「より可能性が高いのは、人間なしでの初飛行が約3年半後、人間を乗せた次の飛行が約5年半後になることでしょう」と彼は付け加えた。
ロボット工学者ヒュービッキ教授の警鐘──人型ロボットはいまだ「信頼性」不足
だが、フロリダ州立大学のオプティマル・ロボティクス研究所(Optimal Robotics Laboratory)を率いる高名な学者クリスチャン・ヒュービッキは、テスラの経営陣が、火星に向けて打ち上げる前にOptimusロボットの堅牢性を向上させるための一連の画期的な技術的進歩を成し遂げない限り、これらのロボットは、進化のこの初期段階にある世界中のすべての人型ロボットに共通する特徴である、機能低下のスパイラルに陥る可能性が高い、という。
研究者たちがこうした「人間の複製」ロボットを強化し完成させようと競い合う一方で、世界中の人型ロボットは今なお共通の「アキレス腱」をいくつも抱えている、とヒュービッキ教授は筆者に語る。
米国のトップクラスの科学大学の1つであるジョージア工科大学で工学とロボット工学の博士研究員を務めたヒュービッキは「ヒューマノイドは転倒します。故障します。そして、プログラムはクラッシュするのです。ロボット工学の分野は人型ロボットで大きな飛躍を遂げ、スキルセットを広げ、コストを引き下げてきましたが、信頼性は依然として大きな障壁です」と付け加える。
「現時点で、人型ロボットは地球上で自律的に活動するのに足る、十分な信頼性がありません。ましてや火星ではなおさらです」。



