NASAの先例、ISSに送られた初のロボット「Robonaut 2」
同一仕様のロボットから成るOptimus部隊の打ち上げ計画により、SpaceXのチーフデザイナーはNASAの先例に倣うことになる。NASAは十数年以上も前に、宇宙飛行士を模して作られた最先端の宇宙アンドロイド、Robonaut 2(ロボノート2)を国際宇宙ステーション(ISS)に送り込んでいる。
Robonaut 2には次世代プロセッサーとカメラ、LIDARスキャナー、そして周囲の状況を把握するためのAI搭載画像認識システムが備わっていた。
Robonaut 2は、ISSに滞在する宇宙飛行士や、眼下で自転する地球にいる地上管制の科学者たちと交信できるよう訓練されていた。
「人型ロボットが宇宙に行くのはまったく新しいことではありませんが、それは人間がすでにそこにいて修理できる宇宙ステーションに限られてきました」と、ヒュービッキ教授は一連のインタビューを通じて筆者に語る。
火星での利用には、根本的に異なる課題がある
「火星はまったく別の話です。」
NASAが2011年に、この初の「ロボット宇宙飛行士」の開発に10年以上を費やしてRobonaut 2をISSへ打ち上げた際には、「その目的は、すでにステーションにいる人間の宇宙飛行士を補助し、彼らの貴重な注意力を他の作業に振り向けるための第1歩とすることでした」。
「それは、地上からの絶え間ない監視の下で、いくつかの概念実証テストを行うためのテストプラットフォームだったのです」と彼は言う。
Robonaut 2は簡単な自律タスクのデモンストレーションをいくつか行ったが、そのほとんどはミッションコントローラーによって遠隔操作されており、時速2万8000キロメートルで軌道を周回しながら、彼らの「天上のアバター」となった。
ISSでは救助・修理が可能だが、火星では不可能
Robonaut 2の脆弱性について、ヒュービッキは言う。「決定的に重要なのは、ISSではロボットが必然的に不具合を起こした際に、それを助け、修理する人間がいるという点です。」
「火星では、それを救助する人間はおらず、交換部品を輸送するのは悪夢のように困難です」。
人間に近い知性と高い信頼性を備えたアンドロイドを開発するための世界規模の探求は、いま加速している。
「宇宙では、信頼性が最も重要です」とヒュービッキは言う。
「信頼性」が生死を分ける
「火星では、それが生死を分けます」。
「人型ロボットの信頼性において大きな技術的飛躍がない限り、人間の付き添いのない人型ロボットが火星で長く機能し続けることはないでしょう」と彼は予測する。


