経済・社会

2025.10.21 14:30

中間層崩壊の先で台頭する「カウンターエリート」の論理と正体

石田 健|「The HEADLINE」編集長

世界、そして日本の行方

──著書では、米シリコンバレー思想の潮流やピーター・ティールについても詳述している。

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ここ10年におけるシリコンバレーの思想や、テックの存在感と影響は強かった。既得権益的なものが広がると内部から破壊者が生まれてくるのは、シリコンバレーの歴史そのものだ。特にピーター・ティールは16年の大統領選でもいち早くトランプを支持し、今回もJ・D・ヴァンスへの支援を通じて政権に大きな影響力をもっており、その言説は無視できないと感じている。

──カウンターエリートの台頭でこれから世界はどうなるのか。また、日本は。

ひとつの指針があるとすればテクノロジー楽観主義だと考える。人類の長い歴史において、テクノロジーこそが私たちの社会を豊かにしてきたことは疑いようがない。 

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しかし、マーク・アンドリーセンらをはじめとしたシリコンバレーのテクノロジー楽観主義者たちが見落としている点は、テクノロジー楽観主義は適切な規制や再分配を伴ってこそ、はじめて社会から受け入れられる思想となることだ。

一方、日本では、既得権益に対する破壊者がまだ生まれていないのではないか。経済成長の時代は終わり、構造が破綻しているのにもかかわらず、大きな問題意識をもっていない人たちが言説をコントロールしている。

そういった意味で、私自身はカウンターエリートたちに全面的に賛同するわけではないが、アメリのようにまず破壊者が現れないと、「処方箋」に対しての議論も深まらないのではないかと感じている。自身も新しいメディアを創設したチャレンジャーであると思っているし、若い世代からも挑戦者たちがどんどん出てきてほしい。


石田 健◎1989年、東京都生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了後、創業した企業を東証プライム上場企業に売却し、2022年にニュース解説メディア「The HEADLINE」を創業。TVやラジオなど多数の番組でコメンテーターを務める。

文=岩坪文子

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