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2025.10.14 11:00

銀行の常識を覆す「共創」と「アジャイル」で顧客と向き合う——りそなグループのDX

金融業界が大きな変革期を迎えるなか、りそなグループは独自のDX戦略で異彩を放っている。多くの金融機関が内製化へと舵を切る一方で、彼らはチームラボやデジタルガレージといった外部のトップランナーを組織の内に招き入れ、一体となってサービスを開発する「共創」というスタイルを貫く。その思想と挑戦の先に描く金融の未来を、りそなグループ全体のデジタル戦略を統括する執行役グループCDIO(最高デジタルイノベーション責任者)の川邉秀文が語る。


「金融機関のDXというと、社内の生産性向上か、お客さまへのサービス提供か、という二元論で語られがちです。我々の部門の始まりは明確に後者。まずデジタルの力でお客さまの体験価値を最大化する。その結果として、我々のビジネスも変革される。この発想がすべての起点です」

りそなグループのDX戦略を語るCDIO・川邉秀文は、明快な言葉でこう話す。同部門が担うのは、顧客とのあらゆるタッチポイントのデジタル化だ。個人向けには、徹底した顧客目線でUI/UXを磨き上げた「りそなグループアプリ」を企画・開発。その取り組みはアプリストアでも高く評価されており、ダウンロード数は2025年4月末に1,100万(りそなグループ外も含む)を突破した。

法人向けには、法人のインターネットバンキングや経営者向けのスマートフォンアプリといったタッチポイントの提供に加え、中小企業の経営課題解決に深く踏み込んだ。その核となるのが、デジタルガレージ社との共創から生まれた決済ソリューション「Pay Resort+」だ。単なる決済機能に留まらず、マーケティング活動支援やBtoB取引における経理業務の効率化など、企業の商流そのものを円滑にするソリューションを提供しており、その範囲は銀行の伝統的なサービスの枠を大きく超えている。

この顧客基点の思想は03年の経営危機、いわゆる「りそなショック」を乗り越える過程で培われたDNAに根差している。当時の経営トップが掲げた「我々は、銀行業務が金融サービス業であると自覚する」という言葉。それは「銀行ができること」を起点とするプロダクトアウト型の発想から、「お客さまが本当に望むこと」を起点とするマーケットイン型の発想への劇的な転換を意味した。

「『りそなの常識は世間の非常識』という強烈な自己否定から我々のサービス業としての歩みは始まりました。お客さまの視点に立つという、今では当たり前のことがグループのカルチャーとして深く根付いている。この歴史的背景こそが、我々のDX戦略の根幹を成しているのです」

その先進性は外部からも高く評価されており、経済産業省と東京証券取引所が選ぶ「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」に20年、21年、23年において選定されるなど、着実な成果を上げている。

川邉秀文 りそなホールディングス 執行役グループCDIO
川邉秀文 りそなホールディングス 執行役グループCDIO

顧客の価値最大化を実現する「共創」と「アジャイル開発」

顧客への価値提供を最大化する——。その目的を達成するためにりそなが選択したのが、外部の専門家たちと垣根なく事業を創り上げる「共創」と、高速で改善を繰り返す「アジャイル開発」だ。

象徴的といえるのが、17年から続くチームラボ社との協業だろう。個人向けアプリ開発にあたり、あえて金融アプリケーションの開発経験がない同社をパートナーに選んだ。

「銀行員の発想だけでアプリをつくっても、それは幻想に過ぎないのではないか。そう考えたとき、生活者目線で徹底的にUI/UXを突き詰められるパートナーが必要でした。チームラボ社との議論から生まれたのは、徹底的な引き算の発想です。例えば定期預金を作成する際、銀行員はどうしてもさまざまな選択項目を用意しようとします。しかし彼らは『顧客が本当にしたいことは1つだ』と、不要な情報を削ぎ落とし、最短距離で目的を達成できる体験をデザインしてくれたのです」(川邉)

この共創の輪は、決済領域からデータサイエンスまで、多岐にわたる。法人のお客さまの資金繰りや支払いニーズに柔軟に対応できるような多様な選択肢を提供するうえでは、クレジットカードの知見をもつJCB社と連携。さらに、顧客のデジタルログを分析し、一人ひとりとの最適なコミュニケーションを実現するため、データサイエンス領域のプロフェッショナルであるブレインパッド社のメンバーもりそな本社で机を並べている。

また、法人領域におけるもうひとつの核となるのが、決済代行の雄デジタルガレージ社との共創だ。今後は将来の決済トレンドを踏まえたアプリケーションの共同開発なども予定している。また単にサービス開発だけでなく、24年にはCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)ファンド「DGりそなベンチャーズ1号投資事業有限責任組合」を共同で立ち上げ、スタートアップ投資にまで踏み込んでいる。そこには、ファーストペンギンとしてリスクを取り、新たな価値創造に挑むという両社の企業精神への共鳴がある。

こうした外部との連携を実りあるものにするのが、アジャイルな開発体制だ。従来の金融機関にありがちな、金融機関側が要件を固めてベンダーに発注するウォーターフォール型ではない。ビジネスオーナーと開発者、外部パートナーも含めて、全員が「ワンチーム」としてリスクを共有し、価値提供の実現というゴールに向かって走る。しかし、その道のりは決して平坦ではなかった。

「アジャイルの本質は開発手法というより、関係性の変革です。しかし導入当初は、投資対効果(ROI)を定量的に示しにくいこの手法への社内理解を得るのに正直苦労しました。すべてが成功するわけでもなく、お客さまのために良かれと思ってUIを変更して『変えた結果、全然ダメだった』というケースも当然ありましたが、お客さまの行動データやコメントを真摯に受け止め、高速でPDCAを回し続けてトライ・アンド・エラーを繰り返す。それはDXの華やかなイメージとは違った愚直な世界です」と川邉は苦笑する。

変革を続けるチーム運営

外部の人財を積極的に取り入れ、スピーディーな意思決定を可能にする背景には、それを許容する組織的な土壌がある。ここでは、新卒採用者か中途採用者か、あるいは外部パートナーか、といった垣根は一切存在しない。

その思想を物理的に体現しているのは、DX部門が入居する共創スペース、通称「りそなガレージ」だ。フリーアドレスのフロアでは、ペーパーレスを徹底するためにプリンターを撤去し、多数のホワイトボードやディスプレイを設置。まず対話から始める環境を整備した。個人の作業に集中するのではなく、まず議論を交わし、アウトプットしていく。こうした環境が、企画構想の段階から関係者がスピーディーに意識を合わせ、部門や企業の壁を越えた連携を可能にしているという。

「風通しの良さは間違いなく我々の強みです。資料作成に時間を費やすのではなく、企画の構想段階で関係者が集まって課題意識を合わせる。誰がどの会社の出身なのかは、誰も意識していません。重要なのは、顧客価値の向上というミッションに貢献できるかです。また、業務時間の10%は本来のミッション以外のことに使っていい『10%運動』という制度があり、新しいチャレンジを奨励する文化が根付いています。その取り組みのなかで、社員が部門内で共創相手を探すプロジェクトを投稿し有志がそれに応募できるようなプラットフォームも生まれています」

川邉は「DX部門という冠がついているが、それは単なる部署名ではない」と言う。もはやデジタルが絡まないビジネスは存在せず、あらゆる物事をデジタルの力でどう変えられるかを問い続けることが、この部門の使命なのだと。

「我々の部門は、いわば来るもの拒まず。今の状態に常に疑問をもち、変化を恐れず、変え続けることが求められます。大切なのは、新しいことへアレルギーなく、果敢にチャレンジできる姿勢です。そのプロセスを楽しみながら、まだ世にない価値を創造しています」

顧客との向き合いこそがりそなの生命線

川邉が何度も口にした「徹底的にお客さまに寄り添う」という言葉。メガバンクのようにグローバルで戦うのではなく、国内のお客さま一人ひとりとどこまで深く向き合えるか。それこそがりそなの生命線だという。

「これからの金融機関に求められるのは、AIなどを活用し、お客さま一人ひとりにオーダーメイドで向き合う一対一の寄り添いです。どれだけデジタルが進化しても、最後は人に頼りたいお客さまも大勢いる。我々はデジタルバンクを目指しているわけではなく、デジタルとリアルの両面でお客さまに最適なサービスを届けたいという、その一心でいるのです」

りそなグループのDX部門は、これまでの銀行の常識を疑いながら、金融という巨大なアセットの上でスタートアップのような熱量とスピード感をもって未来の創造に挑戦し続けている。

りそなホールディングス
https://www.resona-gr.co.jp/


かわべ・ひでふみ◎株式会社りそなホールディングス 執行役グループCDIO(チーフ・デジタル・イノベーション・オフィサー)。1996年、株式会社大和銀行(現・株式会社りそな銀行)に入行。2020年にりそなホールディングスグループ戦略部部長(IT改革担当)、22年に同DX企画部長などを経て、24年よりりそなホールディングス執行役ならびにりそな銀行執行役員に就任。25年4月より現職。

Promoted by Resona Holdings, Inc. / text by Michi Sugawara / photograph by Shuji Goto / edited by Akio Takashiro

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