一方で、マスクによる買収以降、Xは長年にわたり広告主獲得に苦戦してきた。Eマーケターの推計によれば、2023年にXの世界広告収入は前年比51.7%減の20億ドル(約3000億円)に急落し、翌年もさらに2.3%減少した。英国当局に提出された財務報告書によれば、2023年に同国におけるXの広告収入は前年比66%以上減少し、利益も同74%減少したとフォーチュンは報じている。利益急落の主因は、マスクの買収後に広告主が大量離脱したことだった。Eマーケターは2025年にマスク体制下で初めて広告収入が増加すると予想しており、前年比16.5%増の22億6000万ドル(約3384億円)に達すると見込んでいる。米国での収入は同17.5%増の13億ドル(約2000億円)になる見通しだ。
Eマーケターのアナリスト、ジャスミン・エンバーグはブルームバーグに対し、Xの広告回復の一部は「恐れ」によるもので、トランプ政権に恩を売ろうと一部広告主が復帰しているためであると述べた。ただし、2021年比で見た広告収入は依然として半分にとどまっており、これを「反転」と呼ぶには時期尚早だとも語った。
エバーコアISIのシニアマネージングディレクター兼インターネット調査アナリスト、マーク・マハニーは、ThreadsがInstagramなどの他のプラットフォームと密接に統合されていることが、Xに対して収益やユーザー数拡大における優位性をもたらすとフォーブスに語った。メタのマーク・ザッカーバーグCEOは米国時間9月24日、Instagramの月間アクティブユーザー数(MAU)が30億人に達したと発表しており、マハニーはこれを「大きな強み」だと評した。メタはその巨大なプラットフォームからThreadsにユーザーを流入させることが可能だからだ。
ユーザーはInstagramやフェイスブックの認証情報でThreadsに登録でき、App Storeにおける同アプリの説明欄には「Instagramのテキストベースの会話アプリ」と記載されている。マハニーは、InstagramとThreadsはユーザーに関する情報をより多く把握しているため、ターゲティング広告の精度が高い可能性があり、それによって広告主にはThreadsがXよりも魅力的に映るだろうと指摘した。「Threadsが大きくなればなるほど、Xの広告主に対する魅力度は低下する」とマハニーは語った。


