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2025.09.29 18:15

ジェーン・スーが語る 20代は「自分ミュージアム」作りの時間

ジェーン・スー

入社してすぐ、両親が同時に倒れて、半年ほど介護休職することになりました。一人っ子だったこともあって、とにかくやることが多く「仕事に戻れるか不安で泣きました」みたいな日は1日もなかったです。それぐらい実際の介護ってめちゃめちゃ大変。でもそれがかえって良かったんです。

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たとえば目の前にお皿が飛んできて、パッて取って置くっていう仕事をしていたら、その時は過去のことも未来のことも絶対考えないでしょう。変えられない過去と起こってない未来のことで悩むのは、暇だから。そういう意味では、介護休職中はとにかく目の前のことに精一杯取り組んでいて、先のことも考えてないから、超マインドフルネスでした。

その後、何度か転職しています。1社目のレコード会社へ入った理由は「日本人アーティストが海外レーベルと直接契約をして曲をリリースするようなプロジェクトに関わりたい」でした。その後、別のレコード会社にいた大学時代の先輩から「そういうプロジェクトを立ち上げるからおいでよ」と言われたのが、最初の転職のきっかけでした。1社目の入社理由も音楽業界に入りたくてこねくり出したものではあったし、転職しない方が絶対楽だなとも思ったんですけど、どうしても「面白そうな方」を選んじゃう癖がある。それが28歳の時でした。

「駅ビルの女」にはなれないから、「外れ値」を生きる 

それこそ私の「異形感」が導いた答えの気がします。安定を選んでも、自分で100%は楽しめないのは分かってるから。よく「駅ビルの女」って例えるんですけど、駅ビルで売っている服が似合って、駅ビルで売っている靴にサイズがあって、駅ビルで売っているカバンを抵抗なく持っていて、とにかく駅ビルで全てが賄える人は、おそらく日本で一番安らかに過ごせる人。

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私は駅ビルに合うものはほとんどない。職場も同じで、安定したところにいても私が満足できるもの、味わえることってそんなにないんだろうな、という確信があっての選択だったと思います。私はたぶん人間的に「外れ値」なので。

「面白いを選ぶ」筋をつけよう

今は情報が溢れかえっている時代なので、UNDER30世代の皆さんは「自分が何を面白いと思うのか」を見極めるのも難しいと思います。面白そうとか楽しそうと“思う”ところまではみんな行くんですけど、それを“選ぶ”っていう行動に繋げるのにはちょっと負荷がかかる。
ただ、それも筋トレのようなもので、「面白いと思ったら選ぶ」を繰り返すことがとても大切。

なぜ面白いことを選べないかといったら、絶対間違えちゃいけないって思うから。SNSもあるし、間違えちゃいけないプレッシャーって、私たちの時とは比にならないくらいあると思うんです。ただ、最近声を大にして言いたいのは、ChatGPTに聞いて出てくる答えが正解ではないということ。あれは世の中に出ている情報から推測された結論であって、唯一の正解ではないし、新たな答えを作り出すのも私たちなんです。

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文=西澤千央 編集=川上みなみ 写真=小田駿一

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