ドニプロ川の岸辺にある旧ソ連時代の古い工場の中に、戦争の過去と現在が併存している。錆びついた前世紀の産業機械の隣に、地雷を探知するように訓練されたスマートな地上ロボットが置かれているのだ。
ウクライナは現在、世界で最も地雷に汚染された国となっている。国連によると、ウクライナの国土の23%が地雷や不発弾によって汚染されている可能性がある。
地雷や不発弾の除去は、非常に手間がかかり危険な作業だ。世界銀行は、ウクライナでの取り組みも長い時間を要し、費用は370億ドル(約5兆5000億円)以上にのぼると見積もっている。スロバキアのシンクタンク、グロブセック(GLOBSEC)の試算では、従来の手段を用いた場合、ウクライナ国内の地雷を完全に除去するには757年かかるという。
9月には、ウクライナ北部チェルニヒウ州で、地雷除去にあたっていたデンマークの人道NPO、デンマーク難民評議会(DRC)のチームがロシア軍の弾道ミサイルで攻撃され、作業員2人が死亡、3人が負傷した。ウクライナではこれまでに複数の人道的な地雷除去チームがロシアによる直接の攻撃目標にされており、この活動はいっそう危険なものになっている。
More Russian War Crimes
A strike on a humanitarian demining mission group in the Chernihiv region.
One of the employees of the "Danish Refugee Council," which was conducting demining of the area, was killed, two were wounded.
Even in the footage taken by the enemy's… pic.twitter.com/GP7pDCHtzL— Shaun Pinner (@olddog100ua) September 4, 2025advertisement
地雷との闘い
ウクライナ軍による2023年の反転攻勢で、最大の障害になったのも地雷原だった。ロシア軍は長大な防御線を築いていたため、ウクライナ軍の工兵部隊は夕暮れ時に腹這いで進み、敵のドローン(無人機)による監視や砲撃のなかで地雷を見つけ出し、処理しなくてはならなかった。
ウクライナの外国人部隊(インターナショナル・リージョン)の衛生兵、リマ・ズライティスは「地雷は兵士が前進を図る際にいつも問題になります。ロシア側はいたるところに地雷を撒いているからです」と語る。「(小型地雷の)『バタフライ地雷(花びら地雷)』や『トウポッパー』は大きな問題になっていて、足の一部もしくは全体が吹き飛ばされます。そうした例を治療した経験が何度かあります。もちろん、もっと大型の地雷は重傷を引き起こし、たいていの場合、死に至ります」



