欧州

2025.09.26 09:30

AIで地雷を探知し、地上ロボットで除去 「戦後」も見据えたウクライナの取り組み

ドローン(無人機)からの映像をAI(人工知能)で解析し、地雷原をマッピングするデンマーク・ウクライナ系スタートアップ、Dropla Techのシステム。ウクライナ政府の防衛技術育成プラットフォーム「BRAVE1」がX(旧ツイッター)で共有した動画から

こうしたなか、デンマーク・ウクライナ系の防衛スタートアップ、Dropla Tech(ドロプラ・テック)は、地雷除去というきわめて危険な作業を担うロボットを開発している。ドロプラは2023年に設立され、本社はデンマークのオーデンセ、技術部門の中核はウクライナ中部のドニプロに置かれている。ドニプロはかつてソ連のロケット産業の中心地のひとつとして栄え、いまもウクライナ屈指の技術者が集まる都市だ。

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開発のきっかけをもたらしたのは将軍たちではなく、森林警備隊員たちだったという。戦争の初期、ウクライナ環境保護省から、地雷によって森林や野生生物に甚大な被害が出ているという話がドロプラの創業者らに伝えられた。共同創業者のドミトロ・ザルビン最高技術責任者(CTO)と彼のチームは、その際のやり取りから自社のAI技術が貢献できることを確信した。

「AI分野の当社の専門知識をウクライナ最大の問題のひとつに役立てられると気づいたんです」とザルビンは筆者の取材に語った。「わたしたちは、エンジニアリングに関するほとんどのニーズを現地で賄うことができます」とも説明する。

地雷原用の無人システム

ドロプラのイノベーションの中心にあるのは、モジュール(組み換え容易な規格単位)式の無人車両(UGV)「LOGIST」だ。価格はわずか7000ユーロ(約120万円)ほどとなっている。頑丈で、修理も現場で簡単にできるように設計されたこのプラットフォームは、さまざまなモジュールを追加できる。工兵が手作業で草木を切らずに済む草刈り用モジュールや、対人地雷を直接起爆させる地雷処理モジュールなどだ。

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画期的なのは価格の手頃さだ。同等の西側製システムは数十万ユーロ(1ユーロ=約175円)するものが多く、広範な導入は現実的でない。ザルビンは「こうしたプラットフォームは消耗できるものでなくてはなりません」と話す。「1台が破壊されても、兵士1人を失うのに比べたらはるかにましです」。とはいえ、ハードウェアだけでは不十分だ。地雷の探知を大規模に進めるには、新たなレベルの「知能」が必要になる。

ドロプラはドローンとコンピュータービジョンを組み合わせて、地雷原と疑われるゾーンをマッピングするシステムを手がける。5種類のセンサーを搭載したドローンがデータを集め、そのデータを送られたAIモデルが「安全」から「高リスク」までゾーンを色分けして示す。現在の精度はおよそ80%で、100万枚以上の画像からなる独自のデータセットを自社で構築するにつれて、精度は向上してきているという。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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