経済・社会

2025.09.24 15:15

第二期政権下の3年半で5人の首相が就任、仏マクロン大統領が直面する逆風

Photo by Daniel Pier/NurPhoto via Getty Images

マクロン大統領の支持率は過去最低に

フランスの国民議会はどの政党も議席の過半数を有していない「ハングパーラメント」が続く。EUとの協調を重視する中道の大統領会派や共和党などの中道右派、分配と財政支出重視の社会党や「不服従のフランス」などの左派、国家主権を意識し、「極右」とも称される国民連合を中心にした右派、これら3つの勢力に分裂。それぞれの考え方や政策をめぐる隔たりは大きく、これからも予算編成をめぐる議論などでの対立が避けられそうにない。

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エマニュエル・マクロン大統領はバイル前首相の辞任後、側近とされるセバスチャン・ルコルニュ国防相を次期首相に指名。難局を乗り切ろうとしているが、先行きは混とんとしている。

2022年5月からのマクロン大統領の第2期政権下の首相はルコルニュ氏で5人目だ。バイル前首相の前任だったミッシェル・バルニエ元首相も財政の大幅な削減を盛り込んだ2025年度予算案の議会での審議が難航。議会の採決を経ずに首相権限で法案を成立させることを定めた憲法第49条3項を発動して強行突破を図ろうとしたが結局、不信任案を野党から突き付けられて頓挫。就任からわずか90日で辞任に追い込まれた。

国内ではバイル内閣の総辞職後も緊縮財政に反対する抗議行動が頻発。9月10日にはSNSで「すべてを封鎖せよ」というスローガンの下での呼びかけをきっかけに、フランス全土で19万7000人(内務省発表)がデモに参加した。

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続く18日に行われたデモやストライキには50万人以上が参加したと内務省は発表。労働組合のフランス労働総同盟(CGT)は参加者100万人以上と推定している。同日にはデモに参加した300人以上が身柄を拘束され、デモ隊と治安部隊の双方に負傷者が出た。

フランスの調査会社「Ifop」と「ル・ジュルナル・ド・ディマンシュ」紙が実施した最新の世論調査によると、マクロン大統領の支持率は17パーセントと2017年5月の第1期政権時代も含めて過去最低の水準に落ち込んだ。国内での混乱が続き、財政不安がくすぶり続ければ、マクロン大統領にはさらなる逆風となるのは必至だ。

フィッチによる国債格付けの引き下げ直後の影響は軽微にとどまったが、フランスの10年債利回りは、その後、またジリジリと上昇。フランス国債売りの動きの加速には警戒が必要だ。金利高は同国政府の財政負担増をもたらす。市場関係者はフィッチとならぶ世界的な格付け会社の米国の「スタンダード・アンド・プアーズ」と「ムーディーズ」両社の対応を注視している。

文=松崎泰弘

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