健康

2025.09.26 09:15

睡眠時間は通勤時間と自宅床面積のトレードオフ

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通勤時間が長いと不眠になりやすい。また自宅が狭くても不眠になりやすい。そんな研究結果が報告された。それなら都心に広いマンションを買うか! となるが富裕層じゃあるまいし、それはムリな話。通勤時間と家の広さとはトレードオフの関係だ。妥協点はどのあたりにあるのだろう。

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大阪公立大学大学院生活科学研究科の松下大輔教授らによる研究チームは、東京都区部に通勤する40〜59歳の首都圏在住者1757人分のアンケート調査データを解析した。それによると、通勤時間が52分を超え、4人世帯で住宅面積が95平方メートル程度の場合は、不眠症を引き起こすリスクが高くなることがわかった。

この研究の論文によれば、分析に使用した2つの睡眠尺度(AISとESS)が、通勤時間が長くなるほどオッズ比の増加、つまり不眠を起こしやすくなる傾向を示し、通勤時間が1時間を超える人には統計的に有意な増加が認められた。住居の床面積は、広くなるほど睡眠尺度のオッズが低下、つまり不眠が起こりにくくなり、115平方メートルを超えると有意な低下が見られた。

左は東京駅から時間別到達圏域(緑は60分)、右は調査対象者の自宅と職場を結んだ線。 地域経済分析システム(RESAS、内閣府)により研究チームが作成した。
左は東京駅から時間別到達圏域(緑は60分)、右は調査対象者の自宅と職場を結んだ線。 地域経済分析システム(RESAS、内閣府)により研究チームが作成した。

通勤時間が長いと不眠になる最大の原因は、睡眠時間の短縮だ。7〜9時間の睡眠を取っている人は、睡眠尺度のオッズ比の低下と有意な関連性があった。住居の床面積は、狭いと近隣の騒音などの影響を受けやすく、静かに休める環境が整わないためだ。

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都心から1時間以内で床面積115平方メートルの住宅となると、たとえば所沢あたりで戸建て賃貸の家賃が10万円台となる。参考までに、都心の高級住宅地である代々木上原なら100平方メートルの賃貸住宅の家賃は50万円台だ。凡人はその数字でかえって眠れなくなる。

住宅選びには、睡眠の質も大きな要素として加えることが大切だと、この研究は示唆している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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