中学や高校で何年も英語を習ったはずなのに、多くの日本人が英語を話すことに苦手意識を持っています。これに対して最速英語習得の専門家である川﨑あゆみさんは、日本語と英語は、そもそも「思考の型」が違うことの影響が大きいと指摘しています。
この問題を解消するのが、川崎さんの提唱する「3ます英語」。①「主人公が」②「どうする」③「何を」という3つのますに単語を入れていくことで、思ったことを英語にできるようになるメソッドです。そのしくみについて、川崎さんの著書『思ったことを英語にできる 3ます英語』(サンマーク出版)から一部引用・再編集してご紹介します。
そもそも英語ネイティブはどう言葉を理解している?
英語ネイティブは、単語を1つずつ聞いて話を理解しているわけではありません。「誰が→どうする→何を」の順に単語をかたまりでとらえ、頭のなかに“絵”を描くように意味を理解します。どんなに難しく見える長文でも、これは変わりません。
彼らが理解するプロセスは、第二言語習得論では「チャンク処理」や「予測処理(predictive processing)」として知られ、スムーズに英語を理解するうえで大切なものとされています。「3ます英語」は、この語順や単語のかたまりを「ます」でとらえることで、英語学習の初心者でも英語ネイティブの「思考の型」を最速で身につけられるツールなのです。
英会話の9割は3ます英語の構造でできており、ネイティブは生まれたときからそれを聞いて育っています。だから「誰が→どうする→何を」の順が違うと「ん、どういう意味?」と混乱することも。ネイティブが会話中に聞き直してくるのは、普段どおりの順に頭のなかで絵を描いて理解したいからです。
英語は、さまざまな文化や宗教の人が使う言語なので、相手に「察してもらう」のではなく、話し手が語順を守ってきちんと伝えるのが常識。それが誤解なく伝わる英語をつくっています。慣れてくると、まるで補助輪が外れたかのように「ます」がなくても構造がわかるようになり、英語の語順のまま、すらすらと理解できるようになります。
*「3ます英語」では第1文型から第5文型までの基本文型を扱っており、会話分析の研究では言葉の倒置が起こるのは、わずか2〜3%とされています



