The Liquid Antiquarianとスコッチウイスキー
2025年6月中旬に、YouTube チャンネル「The Liquid Antiquarian」(ザ・リキッド・アンティクアリアン)が新しい動画を公開した。本記事執筆時点での再生回数は 900回弱だった(翻訳時点で1800回弱)。しかし、この動画は綿密な歴史調査に基づく画期的な発見──現代のスコッチウイスキーが私たちの知る姿になったのはオランダ人蒸留家の直接的な功績である──を述べていて、「命の水」(訳注:ウィスキーのこと)をめぐる通説を打ち砕く内容だった。
ロイヤル・マイル・ウイスキーズの元マネージングディレクターでウイスキー研究者のアーサー・モトリーと、ウイスキーライター/著者のデイヴ・ブルームが共同司会を務めるこのチャンネルは、スコッチウイスキーおよび他の蒸留酒に関する詳細な歴史研究に特化している。ブルームとモトリーは職業的な歴史家としてではなく対象への深い愛情を持つ好奇心旺盛な研究者として、ウイスキーの歴史に取り組んでいる。モトリーは特に「アンティクアリアン(古物研究家)」という語を好んでいる。
最新の動画で彼らは、現代のスコッチウイスキー製造で用いられる多くの手法が、18世紀初頭にスコットランドで活動した者をも含むオランダ人蒸留家によって導入されたという大胆な主張を展開する。彼らは埋もれた記録資料を掘り起こし、オランダ人の専門家集団──その多くは医師や化学者──がスコットランドにおける蒸留技術の改善と体系化に寄与した経緯を示している。これらの実践は現地の蒸留家に受け継がれ、国内に広がり、今日のウイスキー製法に直接的な影響を与えたのだ。
スコッチウイスキーの「通説的な歴史」
スコッチウイスキーの初期発展を語る多くの記述は、地元の、しばしば農村での生産に焦点を当てる。収穫後の余剰穀物を用い、ポットスチルで少量のウイスキーを蒸留するスコットランドの農民という、ロマンチックなイメージがよく登場する。こうした物語は、洗練された商業製品というより、農業の副産物としての素朴な出発を示唆するものだ。
これはある程度までは確かである一方、多くの記述から欠落しているのがオランダ人の存在である。一般的な誤解は、スコッチウイスキーが孤立したまま、農村のスコットランド人農家によって何世代もかけて徐々に洗練されたという見方だ。おそらく18世紀初頭まではその通りであり、当時の「ウイスキー」がどのようなものだったかについてはほとんど分かっていない。「産業と呼べるものではありません」とモトリーは説明した。「(18世紀初頭以前については)ほとんど記録がありません。以前がどのようなものだったかは本当のところ分かりませんが、人気でもなく、とりわけ商業化もされていませんでした」。
実際、わずかに残る言及が示すところでは、これらの蒸留酒は品質にバラつきのある荒々しい味わいであり、16~17世紀に登場して広く消費・評価されていた輸入品のラムやコニャックと比べると見劣りしていた可能性が高い。



