資産運用

2025.09.20 13:30

なぜ富裕層はヘリコプターを買うのか 新富裕層の資産運用術

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純金融資産を1億円以上保有する新興富裕層は、どのような考えをもち、何に投資をしているのか。富裕層向け金融サービス事業などを行うZUU代表取締役の冨田和成がその最新動向を解説する。 

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1億円を超える資産をもつ新興富裕層は、大きく3つのタイプに分類できる。ひとつは、相続によって富を手にした富裕層。次に、スタートアップ企業のIPOなど起業によって成功を収めた富裕層。そして、高い給与や報酬を得て、資産を築いた富裕層だ。

今は大相続時代だ。年間50兆円規模の資産が相続されているとされ、これは戦後の第1次ベビーブーム(1947-49年)に生まれた団塊の世代が、75歳以上の後期高齢者となったことで、本格的な資産継承フェーズに入ったためだ。相続は配偶者に2分の1、残りを子どもたちで分けることが多く、富をもった人から分散して増えていく。

この相続型の富裕層は、資産を守る傾向にあり、銀行の定期預金や国債、継続的な収益を生み出しやすい不動産といった安定資産を運用先に選ぶ傾向が強い。というのも、相続税は最高税率が55%にも上るため、大きな資産をそのまま現金でもっていれば、次の代に引き継ぐ段階で大きく目減りするリスクがあるからだ。

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なかでも不動産は、相続する場合、評価額が実際の市場価格よりも低くなりやすいため、節税の手段として重宝されている。さらに、親が住んでいた自宅を相続人である子どもが住み続ける場合、330㎡の面積までは土地の評価額を80%減額することができる小規模宅地等の特例制度もある。こうした制度などを利用して、いかに資産を減らすことなく次の世代に継承していけるかが相続型の富裕層の考えていることだ。

彼らの間でみられる新しい動向は、小口化された不動産への投資だ。例えば不動産ファンド事業を手がけるFPGは2024年に、銀座の複合商業施設GINZA SIX 11階のオフィスフロア全体を取得し、1口100万円、10口から販売。同年に六本木ヒルズ森タワーの18階と21階のフロア全体も取得し、小口化商品として売り出した。複数の投資家で共有し、賃料収入や売却益を分配する仕組みだ。

以前は、不動産投資といえば、1棟をまるごと購入するしか選択肢がなく、金額の大きさが課題だった。地方の物件だと今後の人口動態で考えると資産価値が下がるリスクがあるうえ、すぐに売却もできないため、資産全体のバランスを取りづらい側面も。それが数百万円単位の小口で購入できるようになったことで、複数物件に分散投資が可能となった。数年前から小口化不動産は出てきたが、運用先としての人気が最近急速に高まっている。

起業による富裕層は、スタートアップ企業へのエンジェル投資や、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドへのリミテッド・パートナー(LP)出資という、自身の成功からの事業を見極める能力を活用でき、また高リターンが望めるものに資金を投じている。起業家は相続型の富裕層と比べ、リスクを取ることへの耐性がある。ゼロから事業を立ち上げ、資産を築いてきた経験があるからだ。「仮に資産がなくなっても、また事業を立ち上げてお金を生み出せる」という最悪のケースへの自信をもっていることもあるだろう。

ファンドへの投資を行うのは、VC側の事情も絡んでいる。10年代前半から、VCファンドは次々に立ち上がり、運用総額も伸びていった。ただ、ここ数年はグロース市場が冷え込み、一部のVCには多額の資金が集まる一方、新興のVCなどは思うようにLPが集まらない二極化状況になってきている。そこで、IPOやM&Aなどで資産を築いた起業家や個人富裕層に声をかけるようになった。起業家型の富裕層としても、次の起業家を応援したい、資本や事業でお世話になったファンドに恩返しをしたいという気持ちもある。

機関投資家による出資であればワンショット数億円からだが、5000万円からというファンドも出てきており、資金を出しやすくなってきている。プライベート・エクイティ(PE)ファンドへの投資も増えているが、これも状況は同じだ。新興系のプレイヤーが増えてきており、資金調達経験がないPEファンドは、起業家に頼るケースもあると感じる。

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文=露原直人

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